2023.08.18
ハワイ山火事 郡緊急事態管理局トップが辞任 警報サイレン鳴らさず
米ハワイ州マウイ島で甚大な被害を出した山火事をめぐり、ロペス州司法長官は17日、州と地元のマウイ郡の初動対応などについて第三者機関に検証を依頼する方針を明らかにした。
米メディアによると、犠牲者が集中した島西部ラハイナでは、通信障害などで住民が避難を促す警報を受け取れずに逃げ遅れたとの批判が上がっている。郡の緊急事態管理局は、屋外に設置されている警報サイレンも作動させなかった。住民は津波対策で高台に避難するよう訓練されており、サイレンの音で火が広がる山側に移動することを懸念したためだと説明したという。AP通信によると、同局トップは17日に「健康上の理由」で辞任した。
米国の山火事としては過去100年あまりで最悪の惨事となり、ハワイ州のグリーン知事が司法長官に火災前後の対応を調査するよう指示していた。ロペス氏は17日の声明で「公平で独立した調査になる」とし、「将来の緊急事態への備えのため、必要なあらゆる是正措置を進める」としている。行政は復興への対応に集中する。
火災の原因についても人為的なミスを指摘する見方がある。複数の米メディアは、住民が撮影した映像や証言などを基に、強風で切れた送電線が火元になった可能性を報じた。山火事が多い米西部カリフォルニア州などでは、火災が起きやすい気象条件となった場合に、危険を回避するために計画停電に踏み切ることがある。ラハイナの住民らは現地の電力会社などを相手取り、事前に必要な対策を怠ったなどとして集団訴訟を起こした。【ニューヨーク八田浩輔】
関連記事