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2023.08.21

津波時の車避難、必要な地域・対象者明示へ 岩手県などが報告書

 岩手県と沿岸の12市町村でつくる「地震・津波減災対策検討会議」は21日、徒歩で避難できない場合に自動車で迅速に浸水域外に脱出する「自動車避難」の留意事項を初めて報告書にまとめた。従来通り徒歩避難を原則としつつ、例外的に自動車避難が必要な地域と対象者を、沿岸市町村の津波避難計画で明示するよう求めた。

 国が2020年に公表した日本海溝・千島海溝地震の浸水想定では、岩手、宮城両県などで速やかに高台避難できない場所が東日本大震災より広範囲で多数指摘された。また高齢者や障害者など「避難行動要支援者」を迅速に避難させることも課題となっている。

 このため自動車避難の検討が加速している一方、道路の渋滞や徒歩避難者の安全確保など検討すべき問題もあり、岩手県と沿岸市町村は22年11月から重点的に議論を深めてきた。

 盛岡市での会合で了承された報告書によると、津波の到達時刻までに浸水域外か津波より高い場所に徒歩で避難できない地域を「特定津波避難困難地域」に選定。市町村はハザードマップなどに困難地域を明示する。健常者の自動車避難は困難地域内の居住者に限定し、利用人数や台数の把握に努めるとした。一方、避難行動要支援者の自動車利用は困難地域外でも可能とし、一般車両との区別が必要とした。

 このほか報告書には浸水域内の高所避難に利用する「津波避難ビル」の指定や、避難行動要支援者の個別避難計画に関する留意点も盛り込まれた。県は報告書を基に市町村向けの津波避難計画策定指針を改定する方針。【奥田伸一】

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