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2023.08.22

台風7号1週間 兵庫知事ら、視察の防災相に激甚災害指定を要望

 台風7号が兵庫県内を縦断してから22日で1週間を迎えた。被害の全容把握に向け調査が続き、被災地域の復旧も時間がかかる見通しだ。19日に香美町内の現場を視察した県選出の谷公一防災担当相に、斎藤元彦知事、浜上勇人町長らは激甚災害指定を要望した。【浜本年弘】

谷防災相、氾濫被害の香美町視察

 北上した台風は、県北部の河川上流部一帯に記録的な大雨をもたらした。神戸地方気象台によると、台風が北上した15日は、1日の日降水量が八鹿(養父市)274ミリ▽兎和野高原(香美町)244ミリ▽温泉(新温泉町)231・5ミリと県内3地点で過去最多を記録。8月としても日降水量は大屋(養父市)の250・5ミリをはじめ但馬・丹波地域4地点で過去最多となった。

 香美町を流れる矢田川では15日、水位が急激に上昇した。県新温泉土木事務所によると、香住区の水位は午後3時に氾濫危険水位4・1メートルに迫る4・06メートルになり、午後4時には5・74メートル、午後4時半には過去最高の5・99メートルに達した。町は午後3時半、全域に最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」を県内で初めて発令した。

矢田川で「バックウオーター現象」か

 矢田川は県道沿い2カ所であふれ、香住区油良・間室両地区を流れる支流との合流部では支流の河川水が増水した矢田川へ流れない「バックウオーター現象」が起きたとみられる。18日現在、家屋の浸水被害は町内で床上・床下計61戸に及ぶ。町社会福祉協議会によると、香住区、小代区で20日までの3日間にボランティア延べ69人が活動。21日も8人が現場に入った。担当者は「さまざまなニーズが日々出てくる。活動は当面続く」と話す。

 町内の村岡区和田では15日、軒を連ねる3戸に裏山から土砂が流れ込んだ。仕事に出ていた住人の山居(やまずい)歳矢さん(62)は連絡を受け「家内には『すぐ逃げろ』と伝え、隣家のおばあちゃんは協力して避難させた」。21日には朝来市から派遣された家屋被害認定士の職員3人が状況を調べた。

漁港に流木 土砂崩れや一時断水も

 香住漁港西港の下浜地区では矢田川からの流木が海面を覆って、サザエやアワビなどの漁に出られないため、県が21日、撤去作業を始めた。漂着は他にもあり海水浴、宿泊など観光にも影響が及んでいる。

 豊岡市でも土砂崩れで車の2人が軽傷を負い、市内の建物の損壊、浸水被害は21日現在で計30棟。新温泉町では家屋が7戸浸水した。養父市では上水道の取水用井戸が濁り、16日朝から18日夕まで八鹿町伊佐地区で514戸が断水した。

 谷氏は視察後、関係首長と意見交換。要望を受けた激甚災害指定は「河川、砂防、農地なども含め被害状況を把握し、対処したい」とし、災害救助法の対象拡大は「運用面から被災者のためになるよう努める」と述べた。

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