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2023.08.30

災害協定の直後に台風 移動式ランドリー、断水地区で活躍 兵庫

 兵庫県内を縦断した台風7号の影響で、養父市民約1300人が暮らす514世帯が一時断水した8月半ば、コンテナ型の移動式コインランドリーが活動した。市と災害時の利用協定を結んで間もない市内の運送会社が普段の稼働場所から断水地区に移動させて協力。日々の洗濯に困っていた市民生活に役立てた。

 断水は、台風通過後の16日午前、濁った取水用井戸の取水を止めたため、養父市八鹿町伊佐地区一帯で起きた。一方、避難所などでも役立つ移動式コインランドリーを導入した山本運輸(本社・養父市)が台風接近前の7日、市と災害時の利用協定を結んでいたことから迅速な協力に至った。

 全自動洗濯機9台が並ぶコンテナは、断水地区のJA跡地内に設置され、大勢が利用できるように当初は脱水までの運用とした。利用料金は、災害時の生活支援として活動を委託した市の負担で無料となった。17日夜から稼働し、18日の通水再開後も不調に備えて30日まで設置予定。29日正午過ぎまでで計約350回利用された。

 18日、2回目の利用という女性(82)は「飲料水は給水車、トイレ、風呂は谷川の水。洗濯はここ。とても助かる」。同じく2回目という女性(63)も「車で近くからすぐに運べるので助かる」と話した。

 導入した山本運輸の社長、山本洋介さん(47)は東日本大震災や熊本地震の被災地へ救援物資を運んだ経験から「物資を届ける以外にも何かできないか」「運送会社ならではの取り組みは何だろう」と考え、22年7月には導入したキャンピングカーを災害時には保健室や授乳室として使う協定を市と結んだ。今回の移動式コインランドリーは23年8月から市内の道の駅で稼働し始めたばかりだった。「すぐに役立つとは思ってもみなかった。必要な時に、必要な場所で役立つように、通常時は事業として成り立たせ、災害時に備えたい」と話す。

 9月1日からは道の駅ようか但馬蔵で、有料の通常稼働を再開する予定。【浜本年弘】

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