ソーシャルアクションラボ

2023.09.04

「寝かしつけ」下手な私が悟った、子が寝ない理由

「いすとりゲームしようよー」。寝る前の息子はしぶとい。布団の上でくねくねしながら、私の睡眠を妨害する。どうしても寝たくないらしい。

「えっ、この時間から、いすとりゲーム?いす、ないよ?」と思ったが、気がついた。ああ、「しりとり」のことだ。

「とり」しかかぶってないし!

「早く寝よう」と言う気が失せて、しりとりに付き合う。でも、しりとりの仕組みを6割くらいしか分かっていないので、ときどき壮大に間違える。
しりとりを、ひとしきりしたら満足して、気がついたら寝ていた。

週末、公園で木の写真を撮っていたら娘に「インスタ映えみたいなことやるの?」って言われたのでのせておきます。

ちなみに、この娘もなかなか寝ない子だった。

子は、夜になったらすやすや寝るから、子が寝た後は仕事でも家事でも好きなことでもできる、と思い込んでいた私にとって、受け入れがたい事実だった。赤ちゃんの頃は、まとまった睡眠がなかなかとれなかった。

「寝たふりするといいよ」と何度もアドバイスされ、何度も寝たふりをした。「先に寝れば、子どもも寝るよ」とも言われた。「保育園で疲れて、食事中にすでに寝そう」というあるママのエピソードを聞いたときは、信じられなかった。寝かしつけのコツを知りたくて、検索しまくった。寝かしつけノウハウ本も読んだ。

でも、しぶとい娘は、寝ようとする私の顔によじ登り、目をこじ開けようとした

当時は夜、自宅ファクスで翌日の新聞紙面のゲラを受け取っていた。ファクスが着信し、ガガガガ、とロールに印刷される音が部屋中に響く。その音を聞くたびに、娘は興奮した。私はゲラの確認どころではなくなった。それはそれは悲惨な光景だった。

ああ、この子はもっと私と一緒にだらだらしたいんだ。遊びたいんだ。そう悟るようになったら、見え方が変わってきた。

子どもたちが寝ないのには、もう一つ、理由があった。
仕事と家事育児で気が立った私の体が、緊張でこわばっていると、その緊張が子どもに伝わるんだって。
「お母さんが、リラックスしないとね」

産後、体力が低下して通い始めたしんきゅうの先生にも、整体の先生にも言われてしまった。はっとした。子どもが寝ないときは、私の気持ちもとげとげしていたり、頭の中で仕事のことをぐるぐる考えたりしているのかもしれない。

私が考える「疲れているはずの我が子が夜、寝ない理由」は、単純だ。

子の気持ちが満たされてなくて、まだ寝たくないから。そして、親の私がリラックスできていなくて、その緊張が子に伝わるから。

答えは、ノウハウ本ではなく、自分と、子どもの中にあったのです。

【書き手】山内真弓。元転勤族で、茨城、仙台、千葉、東京で子育て。子はふたり。「遠くに行かなくても満たされる暮らし」の豊かさを知りました(体力もないため)。コマロンをはじめた毎日新聞記者です。