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2023.09.06

土石流、家屋がせき止め分岐→警戒区域外流出 福岡大教授が報告

 7月の九州北部大雨によって福岡県久留米市田主丸町竹野地区で起きた土石流について、福岡大の村上哲教授(防災地盤工学)は「(地区に)最初に到達した流木が家屋や樹木でせき止められ、土石流の流れが2方向に分岐したことが、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)外への土砂の流出につながったとみられる」と明らかにした。【城島勇人】

 災害現場を調査した地盤工学会(東京都)が福岡市で1日に開いた報告会で、村上教授が説明した。雨量を解析した村上教授によると、竹野地区の南側にある土石流発生源では、7月10日午前3~9時の6時間雨量は338ミリ、同9日午後11時~10日午前11時の12時間雨量は425ミリを記録。1988年以降で最大だったという。

 村上教授は短時間で大雨が降ったことで、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)や土砂災害警戒区域の域外にも流出した可能性も指摘。「土砂災害特別警戒区域は地形、高低差で指定されており、樹木など地上にあるものは考慮されていない。一つの目安なので警戒区域以外も注意が必要」と呼びかけた。

 報告会では、九州大の古川全太郎助教(防災地盤工学)が久留米市に土砂災害警戒情報が出された10日午前4時の5時間後、大規模な土砂災害が発生したと発表。同大の笠間清伸教授(防災地盤工学)は「気象情報や防災情報をこまめに確認し、早めに避難することが大切だ」と述べた。

 調査団は地盤工学が専門の大学教授など13人で構成。発生直後の7月中旬に土石流発生現場に入るなどして調査してきた。調査結果を盛り込んだ報告会の資料は、地盤工学会のホームぺージに掲載している。

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