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2023.09.07

世界的な炭素税導入を呼びかけ アフリカ気候サミット、宣言を採択

 アフリカの気候変動に対する取り組みを話し合う初の「アフリカ気候サミット」が6日までケニアの首都ナイロビで開かれ、世界的な炭素税の導入などを呼びかける「ナイロビ宣言」を採択した。11~12月に開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)など地球温暖化の国際交渉におけるアフリカ共通の立場の基礎と位置づけた。

 3日間の日程で行われたサミットは、気候変動に対する適応策や再生可能エネルギーをめぐる資金調達に焦点が当てられ、アフリカ政財界の指導者のほか国連のグテレス事務総長や米国のケリー大統領特使(気候変動問題担当)らも参加した。

 AP通信によると、宣言では「いかなる国も開発への願望と気候変動対策で選択を迫られることがあってはならない」と強調。蓄電池など脱炭素社会の実現に欠かせない技術に使われるアフリカ産の重要な鉱物資源は、アフリカの人々に利益がもたらされる形で開発することなども求めた。

 ホスト国・ケニアのルト大統領は6日の演説で、サミット期間中に各国政府や民間の投資家からアフリカの「グリーン成長」分野などに計230億ドル(約3兆4000億円)の拠出が約束されたと述べた。

 アフリカ大陸から排出される温室効果ガスは世界全体の4%程度だが、防災インフラの整備の遅れなどを背景に不均衡な形で気候変動の影響を受けている。国連の世界気象機関(WMO)が4日に発表した報告書によると、アフリカの気温上昇はこの数十年で加速しており、気象災害が深刻化している。2022年には気象災害によるアフリカの死者数は少なくとも5000人に上り、85億ドル以上の経済被害が生じた。

 先進国などは09年、官民合わせて年間1000億ドルを途上国の気候変動対策の支援に拠出することに合意したが、約束は守られていない。グテレス事務総長は5日の演説で、アフリカの再生可能エネルギー分野の潜在力の高さを強調し、経済・技術的な支援を拡大させることで「アフリカをグリーン成長における世界のリーダーにする」必要があると訴えた。【ニューヨーク八田浩輔】

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