2023.09.18
市民に削減求めるのに、役所でゴミ増加… 郡山市が反省、削減大作戦
全国の中核市で一般廃棄物(ごみ)の排出量が最も多い福島県郡山市が、市役所から出るごみの削減大作戦を始める。これまで焼却していた文書類をシュレッダーにかけてリサイクル資源とし、市立保育所などには生ごみ処理機を設置。市民らに協力を求める前に「自ら襟を正す」方針だ。19日開会予定の市議会9月定例会に約5000万円の関連補正予算案を提出する。
中核市は、人口20万人以上の比較的大きな都市の事務権限を強くする仕組みで、全国に62あり、県内は福島、郡山、いわきの3市。環境省の2021年度調査によると、郡山市の1人当たりのごみ排出量は1日1183グラムで、中核市の平均を3割近くも上回り、2年連続で最多だった。処分場(クリーンセンター)に市民らを見学に招き家庭ごみの削減を呼びかけてはいるが、なかなか意識が浸透していないという。
担当課が今夏、22年度に市関連の全施設から出て焼却処分された文書類の総量を精査したところ、214トンだったことが判明。21年度の152トンに比べて1・4倍に増えており、市民に削減を求める一方で、役所の足元を顧みていなかった。
市の試算では、この214トン分を「資源」化すると、1人当たり排出量は1日2グラム減り、焼却によって気候変動に影響する二酸化炭素の排出量も年間72トンほど削減できるという。このため約5000万円を計上し、全ての関連施設に大型シュレッダー167台を配するプロジェクトを考えた。
品川万里市長は「市民に減量や分別をお願いしてきたが『まず隗より始めよ』と。市が率先して取り組むことで、リサイクル社会実現を目指したい」と話す。一方で、品川市長は、有料ごみ袋の導入については、高齢世帯などに負担をかける▽レジ袋の有料化が進んでいる▽実効性が不透明―などの理由で慎重姿勢を崩さない。担当課によると、無料回収を続けながらごみの排出量を抑えている中核市はあるという。【根本太一】
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