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2023.09.20

コロナ影響? 温室効果ガスの排出量が「最少」に 2020年度の群馬

 群馬県は、2020年度に県内で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスが前年度比2・9%(48万9000トン)減の1626万3000トンになり、現在の算出方法を始めた07年度以降で最も少なくなったと発表した。県は基準年度の07年度(1955万4000トン)を8%下回ることを20年度の目標としていたが、実際は2倍の16・8%も下回った。【田所柳子】

 20年度に広がった新型コロナウイルス禍に伴い、製造業の生産や旅客・貨物の輸送が減少し、経済が停滞したことが大きいという。県が目指す温室効果ガスの大幅削減には近づいたものの、温暖化対策と経済の両立の難しさを突きつけられた形だ。

 21年度以降のデータは今後出てくるが、県によると、全国的には制限措置の緩和で温室効果ガスの上昇傾向がみられるため、県内でも上昇する可能性がある。

 県は30年度に温室効果ガス排出量を13年度比で50%削減する目標を掲げる。経済が回復すると温暖化も進む「ジレンマ」に対し、担当者は「再生可能エネルギーの導入や省エネなどの取り組みの普及で、経済も活発化させつつ、目標達成を目指したい」としている。

 07年度以降でこれまでの最少はリーマン・ショックの影響で経済活動が停滞した09年度の1641万7000トンだった。逆に、東日本大震災後の12年度は原子力発電所が停止して、火力発電が増加して温室効果ガスも増えた。

 今回は、排出ガスの多くを占める二酸化炭素のうち、最大の排出をする産業部門が前年度比7・4%減の575万9000トンと大きく減少。物流や交通などの運輸部門も0・8%減の446万6000トンだった。一方、家庭部門はリモートワークの導入などで同3・7%増の258万8000トンだった。

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