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2023.09.21

英、ガソリン車の販売禁止を2035年に延期 自動車産業に配慮

 英政府は20日、2030年に予定していたガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止の導入時期を、35年に延期すると発表した。一部の自動車産業に配慮したためだが、地球温暖化対策を強化する流れに逆行するとの批判も出ている。

 スナク首相は20日の記者会見で、50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を堅持することを表明。その上でガソリン車などの新車販売禁止の延期について「英国は他国より(温暖化対策の)取り組みで前を行っており、目標到達に向け、より緩いペースで進むことができる」と説明した。

 英政府は21年に自国で開催した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を控え、20年11月にガソリン車とディーゼル車の新車販売を30年までに禁止すると発表。ガソリン車などの比率が高い自動車産業から準備期間の短さを批判する声が上がっていた。

 スナク氏は20日の会見で「過去の政権が国民の支持を得ることなく、あまりにも性急に目標を設定した」と政策変更の理由を説明した。

 英政府はこのほか、新築住宅へのガスボイラー設置を禁止する措置も緩和し、生活困窮世帯などを対象外とした。家庭の断熱性改善を義務づけないことも決めた。温暖化対策の緩和で国民負担を軽減し、24年中にも予定される総選挙に向けた支持拡大を目指す思惑もあるとみられる。

 だが野党労働党は「電気自動車の方が長期的にはコストが安いため、ガソリン車などの新車販売禁止の延期は、英国家庭の負担を増やすことになる」と批判。産業界からは温暖化対策の強化に逆行し、政策の一貫性のなさが投資を阻害するとの指摘も出ている。

 ガソリン車、ディーゼル車を巡っては、欧州連合(EU)は35年までに新車販売を禁止することを決定。ドイツの要望を受け、今年3月に環境負荷の少ない合成燃料の利用に限って販売を認める方針に転換した。【ブリュッセル宮川裕章】

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