ソーシャルアクションラボ

2023.09.25

生まれた月によって、保育園入園のしやすさが、こんなに変わりました|保活日記⑤

長男(3歳)の「保活」が終わってから、2年あまりが経ちました。長男は「認可保育園に入園するために、まず認可外保育園に通園する」、というトリッキーな方法をとらなければなりませんでした。

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一方、次男(0歳)の「保活」は――。

2021年12月、長男が通っている認可保育園の利用を、千葉県市川市に申し込みました。1園しか希望園を書きませんでしたが、先日、今年4月からの「入園内定通知」が自宅に届きました。長男の「保活」とは違い、あっさり終了しました。

なぜこんなに違うのでしょうか?


長男は1月生まれだったため、0歳児クラスに入園しやすい4月の時点では、まだ生後2カ月でした。このときは生まれたての赤ちゃんを預けるイメージが持てず、自分で成長を見守りたかったため、申し込みを見送り、翌年の認可園入園を目指しました。

一方、次男は6月生まれです。この4月で生後10カ月になります。寝返り、ハイハイ、つかまり立ちまでマスターして活発に動き回り、離乳食が進んで授乳量も減ってきました。そのため、今回は0歳児クラスに申し込みました。4月は定員が埋まっていない園が一番多く、入園しやすいタイミングです。

生まれた月によって、入園のしやすさが大きく変わるのです。

また、認可保育園の入園は、市区町村ごとに利用調整があります。子どもの「保育のニーズ」が点数化され、点数の高い子から入園が決まる仕組みです。

市川市は、フルタイム共働き世帯の基準点「40点」に、「育休から復職する」という条件で2点加算された持ち点「42点」の世帯が多いです。

兄姉が通っている園に弟妹が入園を申し込む場合、さらに3点が加点(兄弟加算)されます。そのため、持ち点が「45点」と高くなり、入園しやすくなります。

長男の保活の経験から、4月は認可保育園の空きが多く、兄弟加算のある我が家の「持ち点」も高くなることは知っていました。そのため、次男は、0歳で迎えた翌年4月に入園できる可能性が高いことは、出産予定日が決まった時点で分かりました。

また、もし今回入園できなくても、チャンスはありました。2022年10月に長男と同じように認可外保育園に申し込んだり、空きが多い翌年の4月を待って認可保育園に申し込んだり――方法はいろいろあるからです。

ただ、迷ったのが「後にも入園のチャンスがあるなら、もっと遅くてもいいのでは?」ということ。

長男は8カ月で保育園に通い始めたものの、2歳くらいまでは毎日一緒にいたいと思っていました。歩けるようになり、言葉もしゃべりはじめて日々の成長がめざましく、一緒に過ごす時間がただただ貴重でした。まだ赤ちゃんの次男と離れる時間が長くなるのは、名残惜しいものがあります。

かつて感じていた「母親が子育てしなければいけない」というプレッシャーではなく、シンプルに赤ちゃんが可愛い

それでも入園を申し込んだのは、保育のプロである保育園への信頼があったからです。

発達段階に合わせた遊びや関わり、栄養バランスのとれた給食、季節ごとの行事――。長男が2歳を過ぎたころからは、親以外の大人やお友達と過ごす時間の豊かさを、強く感じるようになりました。(写真は、長男が保育園から持ち帰ってきた制作物などです)

保育園に通い始める前は、「親が働いている間は子どもの世話をできないから、保育園に預ける」くらいの認識でいました。

でも通ってみたら、それだけではないことがよく分かりました。食事やお着替えなど、自宅ではいつも嫌がるのに、保育園では自らすすんでお野菜を食べ、脱いだ服はたたむなど、人違いかと思うほど。先生やお友達から学び、集団の中だからこそ、「自分でやる」ことを楽しめるようです。年長のお兄さんお姉さんと遊んでもらったり、赤ちゃんに優しく接したり、季節ごとの運動会やクリスマス会など、家庭だけでは難しい交流や体験もさせてもらっています。

保育園は、単に「親が働く間に子どもを置いていく場所」ではなく「子どもの健やかな育ちを支えるための場所」だったのです。

次男にとっても、保育園で過ごす時間が良いものになると信じています。

わが家は今回、安心して預けられる保育園に入園できることになりました。 でも、保活の仕組みや、申し込みの複雑さは、産後の疲れた心身にはこたえます…。また、希望しても入園できない、保育園との相性が悪いなど、困っている声も、よく聞きます。 

 認可保育園に入るためには、自治体が決めた「保育ニーズ」で判断された「点数」の高さを、他の家庭と競わなければなりません。子どもが生まれたタイミングなどによって、入園の有利不利が大きく変わる今の仕組みへの疑問は、消えません。

市川保活日記 公開予定日

【書き手】石井遥。新聞社で、著作権関係の業務を担当している2児の母です。毎晩元気がありあまっている「恐竜」(3歳)に食べられそうになるため、睡眠不足。0歳のちぎりぱん(むちむちの腕)をさわり、癒やされながら、日々子育てしています。
暮らしている千葉県市川市でお気に入りの場所は、京成線の踏切。子どもが見たがるので踏切巡りをしていたら、いつのまにか自分もどっぷりはまってスカイライナーの通過を楽しみにしています。
※連載は、2021~2022年に執筆しました。