ソーシャルアクションラボ

2023.09.28

「住まい探しハードル下げたい」 LGBTQ当事者運営の不動産会社

 「LGBTQの人たちが安心して住まい探しを相談できる不動産屋」をコンセプトにした不動産会社が8月末、兵庫県姫路市内に設立された。運営するのは、LGBTQ当事者の石橋明日翔(あすか)さん(51)。自身の経験を生かし、「当事者が感じるハードルを少しでも下げたい」と話す。

 進学や就職、結婚などで新生活を始める際にする住まい探し。気分も新たに楽しく感じることも多いが、LGBTQなど性的少数者の人たちはそうもいかない面もある。「偏見を持たれないか」「意図しない形で明かされる『アウティング』につながらないか」。さまざまな不安やストレスを抱えているという。

 石橋さんも肌で感じてきた。見た目が同性同士の2人で同居できる物件を探すと不動産会社に「どういうご関係ですか」と聞かれる。一般的に、2人入居可の物件の多くは、夫婦や結婚を前提にした異性カップル、兄弟姉妹の同居などを想定した「親族のみ」と要件を定めているケースが多いからだ。

 ここで壁となるのが、当事者が自身のセクシュアリティーを説明すること。「職場や友人、家族にも打ち明けていない人も多い。不動産会社で話すことで勝手に親族に連絡をされたり、回り回って話が広まったりしないか不安を抱えている」という。カップルと言えず、パートナーとの関係をきょうだいやいとこなどと偽って入居する例もある。

 大家や管理会社がセクシュアリティーを理由に入居を断ることもある。石橋さんは「『気持ち悪い』と偏見を持っていたり、他の入居者や近所の目を気にしたりする」とし、「結局、住まい探しを諦めてしまう当事者もいるのが現状」と課題を語る。

 石橋さんは不動産会社での勤務経験を生かし、「住まい探しを安心して相談できる窓口となれれば」と開業を決意した。周囲の目を気にしなくて済むよう、周りに他の客がいない完全予約制での対応を基本スタイルとする。「当事者だからこそできる手助けがある。安心して住まい探しを楽しんでもらいたい」と話す。

 不動産会社「アフロエステートワークス」(姫路市安田4)の営業は午前9時~午後6時。水曜定休。問い合わせは079・241・2510。【喜田奈那】

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