ソーシャルアクションラボ

2023.09.29

誰もが遊べる「インクルーシブ公園」って、どんな場所?

公園を「遊ぶ場所として選びにくい」と感じている子も一緒に遊べるように工夫された「インクルーシブ公園」が、増えています。「インクルーシブ」は英語で、日本語に訳すと「すべてを包み込む」という意味。その言葉のとおり、子どもも大人も、障がいの有無に関係なく遊べる公園です。

自然豊かな都立砧(きぬた)公園(東京都世田谷区)に「みんなのひろば」という遊び場があります。2020年にオープンしました。

ブランコには背もたれがあります。すべり台には、車いすに乗ったまま遊べるように、スロープがあります。地面は、ふかふかのゴムチップがしいてあったり、原っぱになっていたり。転んでもけがをしにくいです。また、遊具は、落ち着いた色合いです。派手な色の組み合わせを見ると疲れる子もいるからです。

運営に関わる一般社団法人「TOKYO PLAY」は、すべての子どもが豊かに遊べる社会を目指して活動しています。代表理事の嶋村仁志さんは「設備が整うことも大事だけど、『みんなが、うれしい気持ちでいられること』が一番大切」と話します。

それは、どういうことでしょうか?

「例えば、このお皿の形のブランコ。手足の力や体幹が弱くても、乗ることができます。いろいろな人がまじり合って一緒に遊ぶことができ、会話も生まれやすいのが特徴です。ただ、人気があって、休みの日は、乗るためにすごく並んで順番を待つこともあります。だから、例えば補助がないと立っていられない、歩けない子がそこでずっと並ぶのは難しい。


誰も声をかけることなく、その子が結局そのブランコで遊ぶのを諦めてしまったら、いくらこういう遊具があっても、『インクルーシブ公園』とは言えないと思います。「お先にどうぞ」と、ふだんからふつうに声をかけ合えたら、お互いにうれしいはず。それが大切です」

公園で大切なのは、「人との関わり合い」。地域のみんなで、誰もが集える場所に育てるのです。

写真撮影=壬生真理子(arTeaTreaT)/嶋村さんの写真のみ山内撮影

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TOKYO PLAYでは、「とうきょうプレイデー」という、遊ぶことの大切さを広めるキャンペーンを毎年開催。今年は「地域で遊ぶ」をテーマに、10月1日まで実施している。

【書き手】山内真弓。元転勤族で、茨城、仙台、千葉、東京で子育て。子はふたり。「遠くに行かなくても満たされる暮らし」の豊かさを知りました(体力もないため)。コマロンをはじめた毎日新聞記者です。