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2023.10.02

「こんな年は初めて」コンブやカキに異変 猛暑で海水温高く、影響か

 今夏の記録的な猛暑で上昇した海水温が、カキやコンブなどの海産物にも深刻な影響を及ぼしている。

 コクのある美味しい出汁(だし)が取れる高級品「羅臼昆布」の産地・北海道羅臼町。良質のコンブが繁茂し、地名に「昆布浜」の名が付く海岸線で約30年間コンブ漁に従事する岡田敏美さん(71)は「こんな年は初めて」と今夏を振り返る。水温が高いためコンブに「ヒドロゾア」と呼ばれる藻のような海洋生物がべったりと付着。はがして出荷するものの、取引価格が最高品質の「1等」に比べて4分の1以下になる恐れがあるという。

 猛暑との因果関係は分からないものの、「8月末になるとコンブに直径3~4センチの穴がいくつも開くようになった」とも。猛暑に加えて湿度も異常に高かった今夏は、コンブ乾燥小屋でファンを回し続けるため、高騰している重油を1日250リットルも使わなければならなかったという。

 今年のコンブ漁は既に終了したが、来年以降にも暗い影がたちこめる。コンブの寿命は2~3年といわれるが、夏の高水温による根腐れで弱ってしまったコンブも多く、冬の大シケで根が外れてしまう懸念がある。岡田さんは「コンブはやっぱり海水温が低くないとだめ。こんな年が続けば、やっていけない」とさえない表情だ。

 道東の厚岸町では、7~15日に子野日(ねのひ)公園で開催予定だった「第61回あっけし牡蠣(かき)まつり」が11月18~19日に延期となり、会期も2日間に短縮された。

 厚岸観光協会(田辺正保会長)によると、記録的な猛暑の影響で7~8月の海水温が例年より5度前後上昇。産卵後の夏場に育つはずのカキが、海水温が上がりすぎたことでプランクトンを十分に取り入れられず、「身入り(成長)がいまいち。人間に例えれば、産後の肥立ちがよくない状態」だという。

 このため「十分な量を提供できない」として、海水温の影響としては初めてまつりの延期と短縮を決めた。ただ、秋を迎えて海水温も下がりつつあり、「11月中旬にはなんとかなりそうだ」としている。【本間浩昭】

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