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2023.10.07

馬場大門のケヤキ並木、樹勢衰え世代交代 子供たちが苗木育成

 国の天然記念物に指定されている東京都府中市の「馬場大門のケヤキ並木」。来年、指定100年を迎える同市のシンボルだが、樹勢が衰え世代交代の時期を迎えている。地元では植え替え用の苗木を育成するほか、近くの都立農業高の生徒が小中学生に種からの育て方を教える講習会を実施するなど、並木を守る活動に取り組んでいる。【山本悟】

 ケヤキ並木は、京王線府中駅の西側わきを南北に走る大国魂神社の参道(都道)にある。同市によると、2車線の車道を挟む長さ約600メートルの両側に、現在はケヤキ119本を含め、エノキ、イヌシデなど広葉樹計128本が並ぶ。ケヤキの古木の樹齢は約400年だが、大半は戦後に植え替えられたものだという。

 ところが、車の往来で、根が張る地面が踏み固められるなど環境の悪化で樹勢が衰えたほか、台風による枝の落下や倒木もあり、2007年に11種214本だった並木は22年には5種128本に減った。

 古木などが枯れると、苗を植えて若返りを図る必要があるが、並木は天然記念物。他地域の苗を移植するのは好ましくないため、市が並木のケヤキの種から苗木を育てる方法を都立農業高に相談。17年秋に生徒が並木で種拾いして育苗試験を実施した。

 18年には同高と市、近くの市立第一小、第一中の生徒で苗づくりがスタート。毎年11月に小中高校生が拾った種を農場に植え、同高生徒が水やりなどの世話をするとともに、植樹に備え並木の落ち葉と一小の校庭で刈り取った芝生を活用した堆肥(たいひ)づくりを行っている。

 同高の農場には、病原菌がはびこって苗木が全滅しないよう、高さ6メートルに伸びた6年生苗から約20センチの1年生苗まで約100本が4カ所に分散して植えてあり、これまで3本の苗木が子供たちによって並木に移植された。

 今年の種拾いは11月16日の予定で、10月2日に開催された講習会には小中学生計43人が参加。同高の緑地計画科の生徒4人が、苗木畑を案内して生育状況や育て方などを説明したほか、堆肥も直接触ってもらった。

 一小6年の男子児童(12)は「いつも見ているので気にとめなかったが、(講習に参加して)並木が身近に感じられて大事にしたいと思うようになった」と感想を述べた。当初から苗木づくりに関わっている同高の実習助手、田口喜朗さん(55)は「子供たちによって並木が元気になってほしい。木を育てることは、人を育てることだと感じている」と話した。

馬場大門のケヤキ並木

 起源は、平安時代に源頼義、義家親子が東北遠征の祈願成就のお礼に寄進したなど諸説ある。江戸時代までの並木はマツなどの針葉樹が一般的で広葉樹の並木は珍しいことから、1924年に天然記念物に指定。ケヤキ並木として指定されているのは国内唯一だという。

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