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2023.10.18

野生コウノトリ、383羽に 繁殖地は3県増の12府県 2023年度

 国の特別天然記念物コウノトリの野生復帰に取り組む県立コウノトリの郷公園(兵庫県豊岡市)は、2023年度の繁殖シーズンを経て全国の野外での生息数は383羽になったと発表した。22年度に比べ、繁殖地は新たな3県が増えて12府県になり、巣立ちも24羽多い104羽だった。【浜本年弘】

 郷公園によると、23年度に繁殖して巣立ちが確認された府県(8月末現在)は、兵庫▽京都▽徳島▽島根▽福井▽鳥取▽栃木▽石川▽佐賀のほか、初めて広島▽香川▽茨城も加わった。兵庫県内では稲美町で1ペアが初繁殖。豊岡市などの但馬地域以外では淡路市に次ぐ繁殖となった。

 繁殖地、繁殖ペアの増加に伴って人工の巣塔以外の電柱、電波塔を利用した巣が増え、新温泉町では電波塔に作り始めたため撤去された。

 また、23年度も8月末までに全国で巣立ち前のヒナ10羽を含む21羽が救護され、14羽が死んで収容された。防獣ネットや防鳥テグスに絡まったり、送電線に衝突したりしたほか、電車との衝突もあったという。繁殖ペアの雌が死んだり救護されたりした場合は、ヒナを育てることが難しくなるため、郷公園で飼育中のペアに預けて育てたケースもあった。

 今後の生息数の動向は、豊岡盆地の繁殖ペア数が既に頭打ちとなっており、他の繁殖地域の影響が大きいとしている。郷公園の久下隆史園長は「数の増加は望ましい。ただ、どのように増えていくのか、段階に応じて検討していく」と話した。

 野生復帰の意義や目標などをまとめ、11年に策定した「コウノトリ野生復帰グランドデザイン」が12年を経過。生息数、救護数などが増えている状況になっているため、12年間の取り組みの評価、検証を進め、新たな課題をまとめる方針も明らかにした。

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