ソーシャルアクションラボ

2023.10.23

性的少数者カップルらの子や親も「家族」 山梨・韮崎市が認定制度

 山梨県韮崎市は、現行の婚姻制度を利用できない性的少数者カップルなどの関係を公的に証明する「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を10日から導入した。山梨県は11月から性的少数者カップルを結婚に準ずる関係と認定するパートナーシップ制度を導入するが、韮崎市の制度は宣誓する人の子や親も、同意があればファミリー(家族)として宣誓受領証に記載できる。制度の意義などを当事者に聞いた。

 ファミリーシップ制度は山梨県で初。8月からパートナーシップ制度を導入した長野県は受領証に子どもの名前も記載できるようにしている。

 制度を利用できるのは成人で、一方が韮崎市内に居住するなどの条件を満たすカップル。事実婚の男女も利用できる。子どもは生計を同一にしている必要がある。書類を提出し受領証が交付されると、市営住宅の入居、市立病院での面会や病状説明への立ち会い、こども医療費助成制度などのサービスで法律婚の家族と同様に扱われる。県の制度で宣誓した住民も同様に扱う。

 市担当者は「多様性を認め人権が尊重される街としてアピールできれば」と話す。

 県内で性の多様性についての啓発イベントや、当事者らのフリースペースを開いている団体「CoPrism(コプリズム)」の飛嶋一歩(かずほ)さんは、制度の必要性を「養子を迎えられるのは婚姻したカップルに限られ、パートナーシップ制度で宣誓しても連れ子は相手の養子にできない」と指摘。急病やけがで実親がすぐ駆けつけられないとき、そのパートナーが手術の同意や保育所の迎えに対応したくても、家族と見なされず『親族を連れてきて』と言われるおそれがあるという。老親が医療や介護を受ける場合も同じ問題が起こりうる。

 飛嶋さんは課題として職員の研修を挙げる。役所の窓口で職員の不用意な言動が尊厳を傷つけたり、性的少数者であることの暴露につながる場合があるからだ。長野県は全職員を対象に研修を行い、窓口には「性の多様性」などのメッセージとともに職員向けの留意事項を記載した表示板を置いて書類の性別欄が他人の目に触れないよう配慮することなどを求めている。【大和田香織】

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