ソーシャルアクションラボ

2023.10.27

コマロン連載「せんさいなぼく小学生になる」が本に 大阪のブックフェアで初売り


コマロンの連載「せんさいなぼくは、小学生になれないの?」が本(ZINE)になりました。

10月28、29日にクリエイティブセンター大阪(大阪市)で開かれるブックフェア「KITAKAGAYA FLEA 2023 AUTUMN & ASIA BOOK MARKET」の「どく社」ブースで販売予定です。

「KITAKAGAYA FLEA 2023 AUTUMN & ASIA BOOK MARKET」は、大阪を拠点にローカル・カルチャーマガジン「IN/SECTS」を発行する「LLC インセクツ」主催のブックフェアです。雑誌づくりを行う中で出会ったさまざまな生産者、アート、デザインなどの表現、ものづくりに 携わる作家、アーティストが一堂に会します。

10月28日(土) 12:00〜19:00
10月29日(日) 11:00〜18:30 

会 場:クリエイティブセンター大阪(CCO)
大阪市住之江区北加賀屋4-1-55 名村造船所跡地 

入場料:各日500円(税込み)再入場可  ※飲食物の持ち込み禁止 

主 催:LLC インセクツ 06-6773-9881

どく社 *「せんさいなぼく」を執筆した末澤寧史さんが2021年2月10日に設立した出版社。「読むことは、立ち止まること。」を基本理念に、慌ただしい日々のなかでも少し立ち止まって考える時間を与えてくれるような、教育・建築・デザイン・福祉などの書籍を出版しています。 

これまでに刊行した2冊の本「学校の枠をはずした」「『能力』の生きづらさをほぐす」に加え、メンバーの末澤さん、多田智美さん、原田祐馬さんがそれぞれ関わってきた本やZINE、フリーペーパー、雑貨などを特別販売します。


「せんさいなぼく小学生になる」
末沢寧史/著、中田いくみ/装画、大田高充/装丁

題字やイラスト 末澤さんのむすこさん

発行:本の人

2200円(税込)+送料 こちらからもご注文いただけます。

以下、書き手・末澤さんのコラムです。

昨年は、むすこの行きしぶり→不登校に直面し、「学校は通うもの」という常識が揺さぶられつづけました。そのなかで、不登校が生まれるプロセスが、5人に1人いると言われるHSC(ひといちばい敏感な子)にとっては構造的な問題と感じられてならず、多少なりとも問題提起ができないかと考えていたところ、旧知の毎日新聞記者・大平明日香さんが、毎日新聞社内でコマロンという子育てメディアを運営してきた山内真弓さんにつないでくれて、不登校が生じる詳細なプロセスの日記を連載させてもらうことになりました。

連載はソーシャルアクションラボにアーカイブ化もされ、1年ほど続きましたが、そこから、こんどはその後の経過も含めた自主制作の本にしてみました。

編集者の性か、①やるならいい本をつくりたい、②子どもが前向きになれるものにしたいという想いで、ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」などの装画を手がける中田いくみさんに思い切って装画を依頼しました。中田さんの描かれる少年の顔が、うちの子にあまりに似ていて、お願いするなら中田さんと心に決めていました。完成した絵は、うちのむすこそのものではないのですが、内面が繊細に描かれためちゃくちゃかわいい、「黄色いサンダルの少年」が生まれました。こんな小1もいたって、いいんじゃない? 

大田さんも今回は簡易版であるという意図もくみつつ、4色の原画を分版して、2色+紙の質感で中田さんの絵の風合いを表現するというチャレンジングな実験を試みてくれました。

あえて帯なしで勝負してみたのですが、いかがでしょう。

はじめて書く字を先生に朱入れされすぎたことで、書くことそのものに自信を失ってしまったむすこに、はじめて書く字が美しくないはずがないと感じてもらうために、大田さんのデザインの力を借りて、本のいたるところに宝石のように散りばめてもらいました。ちなみに、カレンダーがあるのですが、画伯が1日に1字しか書けなかったりすることもあり、別の日に、別々に書いたパーツを組み合わせて、集めてデザインで作ってもらっています…(これも初学時ならではで、わりといまはすんなり書けるようになってきています)。

絶望から、うきうき感まで身体的に感じられるようにできないかと、めくりの表現も工夫してみました。加えて、値付けと販売もできるかぎりは、むすこと一緒にやろうと考えて、算数や売り買いの練習にもなるよう進めてきました。収益の一部は、不登校支援などに取り組む団体に寄付いたします。

折しも、むすこが不登校になった年度に、少なくとも30万人近い不登校が生じていたことが文科省の調査で明らかになりました。不登校の要因は、「無気力・不安が半数」という信じられないような分析をつづけていて、そこでは子どもたちが無気力・不安に陥る社会環境が問われません。

どんな子でも、「入学おめでとう」と言えるような社会をわれわれは、本当につくっていけるのだろうか。教育に対する希望を捨てず、できることをやっていこうと考えています。

コラボレーションの機会なども大歓迎です!!

【書き手】末沢寧史。異文化理解を主なテーマとする、ノンフィクションライター、絵本作家。出版社勤務を経て独立。絵本作品に「海峡のまちのハリル」(小林豊・絵、三輪舎)。出版社どく社を仲間と実験中。妻は教育関係者。本連載では、むすこの小学校入学直後に直面した行きしぶりと不登校をきっかけに、子どもという「異文化」について記します。