2023.10.30
「今決断せねば」 COP28事務局長が語る気候変動対策の”北極星”
中東のアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで11月30日に開幕する国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)のスワイディー事務局長兼特別大使が毎日新聞などのインタビューに応じた。COP28では、産業革命前からの世界の気温上昇を1・5度に抑えることを目標にした国際枠組み「パリ協定」の進捗(しんちょく)状況を確認する「グローバルストックテーク」が初めて実施される。スワイディー氏は「1・5度目標は私たちにとっての北極星だ。パリ協定を軌道に乗せなければならない」と強調した。
エジプトで昨年開かれたCOP27では、1・5度実現のために2030年までに世界の温室効果ガス排出量を19年比43%削減することが必要との認識で一致している。ただ、国連が9月に公表した報告書では、各国の現行目標では1・5度実現の排出削減ペースからほど遠いと指摘されている。
スワイディー氏は「これは達成すべき大きな課題だ。30年までに何らかの変化をもたらすためには、今決断しなければならない」と参加国に結束を求めた。
このほか、COP28では気候変動に伴う被害を受けた途上国支援のための基金の具体化▽激甚化する異常気象など、温暖化の影響を軽減するための適応策の強化など――を検討するとした。
スワイディー氏はパリ協定を取りまとめた15年のCOP21でUAEの交渉責任者を務めるなどしてきた。
開催国のUAEの面積は約8万3600平方キロで、日本の約4分の1。人口は約944万人(22年)だ。首都アブダビは豊富な石油資源を輸出し、商業都市ドバイではサービスや金融業などが発展している。高さ828メートルで世界一のビル「ブルジュ・ハリファ」があるのもドバイだ。【ドバイで井口彩】
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