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2023.11.01

ヨシがストローに 「分福茶釜」の舞台に自生、茎の空洞生かす

 文化庁に日本遺産として認定された「里沼」の一つで、童話「分福茶釜」の舞台になっている茂林寺沼(群馬県館林市)に自生するヨシがストローに生まれ変わった。ヨシは環境保全のため刈り取られて廃棄されていたが、脱プラスチックに役立てようと県立大泉高校の生徒がストローを考案。製作過程で生じる端材からキクラゲの菌床を作ることにも成功した。ストローとキクラゲは4、5日に東京都八王子市で開催される「日本遺産フェスティバル」で展示される。

 茂林寺沼には長さ3メートルに及ぶヨシが生い茂り、定期的に刈り取っている。同高植物バイオ研究部は毎月清掃活動をしており、茎が空洞になっているヨシの特性を生かして、館林市や関東学園大と協力して22年からストロー作りを始めた。

 ヨシは刈ってから約1カ月天日干しし、ノコギリを使って15センチと21センチに切断。ヤスリをかけて煮沸消毒し、食品衛生検査も行う。これまでに1000本作製し、来春までに500本作る予定という。

 さらに同高微生物バイオ研究部がヨシの端材を5ミリ程度に粉砕し、おがくずと混ぜて菌床を作ったところ、キクラゲの栽培に成功した。同部の市川雄(ゆう)翔(と)副部長(2年)は「収穫後も何度も生えて、成功したと思った」と話す。

 フェスティバルには両部の生徒も参加。市のワークショップとして、ヨシストローを各日100本用意し、市内の飲料メーカーから飲み物を提供してもらい、来場者に使ってもらい感想などを集める。菌床と乾燥させたキクラゲを「ヨシのおがくず」とともに展示する。

 植物バイオ研究部の浦野舞香部長(3年)は「入学時に茂林寺沼の場所も分からなかった自分が、環境保全活動を全国の人に知ってもらえるまでになった」と喜んでいる。渡辺恵里校長は「地元の伝統をつなぐ役割を若い世代に担ってもらえた。今回のような成果は自信につながる」と語った。【上鵜瀬浄】

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