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2023.11.02

コシヒカリの品質低下は今後も続く? 新品種に必要な能力とは

 全国各地でコメの新銘柄が相次いで誕生する中でも、根強い人気を誇るコシヒカリ。ただし暑さに弱く、今年は各地で品質低下が確認されている。国立環境研究所(茨城県つくば市、国環研)などの研究チームは、地球温暖化による気温上昇を踏まえ、2040年代までに10年代よりも夏の気温が1~2度高くなっても耐えられる品種を開発する必要があると指摘する。

 稲穂が出てからの20日間に日平均気温が27度以上になる日が続くと、デンプンの蓄積が不十分で白く濁って見える低品質の粒「白未熟粒」が発生するとされる。この時期が夏の盛りと重なる地域が多く、発生が増えると品質検査で等級が下がり、生産者の収入減につながる。

 国環研の増冨祐司室長らは、白未熟粒発生率を推計できる手法を開発。地球温暖化が進んだ場合に発生率がどう変わるかを調べた。

 その結果、今のコシヒカリの場合は40年代には各地で白未熟粒の発生率が上昇し、西日本の沿岸域を中心に等級が1等から2等へ下がる地域が拡大することが分かった。発生率を上げないためには、品種改良を進め、10年ごとに高温耐性を0・5度ずつ高めていく必要があるという。

 今年6~8月の気温は平年より1・76度高く、統計開始以来最も暑い夏となった。雨の少なかった日本海側の米どころを中心に、白未熟粒が多く発生。農林水産省によると、9月末現在の1等米比率は59・6%と過去最悪の水準だという。増冨さんは「研究で40年代に予想されていた事態が、今年は多くの田んぼで現れてしまった」と指摘する。

 新潟県では、コシヒカリの1等米比率が4・3%(10月15日現在)と記録的な低水準なのに対し、同県が開発した高温耐性品種「新之助」は95・3%(同)と平年並みだった。増冨さんは「幸か不幸か高温耐性の有無が明確に差がついた。高温耐性品種の開発・導入がさらに進む契機になるのではないか」と話す。【三股智子】

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