2023.11.02
「2030年までに再エネ3倍に」 COP28議長国・UAEが提言
国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28、30日開幕)を前に、議長国のアラブ首長国連邦(UAE)は、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えるという目標を実現するには、世界の再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに22年の3倍に増やす必要があるとの提言書を公表した。
提言書は、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、世界再生可能エネルギー同盟(GRA)と共同で作成。10月30~31日の非公式閣僚級準備会合(プレCOP28)で各国政府に示した。COP28のジャベル議長は、再生エネ3倍目標や「化石燃料の段階的削減」の合意を目指すと表明しており、提言書をCOP28での議論のたたき台にするとみられる。
提言書によると、21年のCOP26で合意した1・5度目標を達成するには、再生エネの設備容量を22年の約3倍の1万1000ギガワット超に拡大させる必要があるとした。IRENAの分析に基づくもので、太陽光は約5倍の5400ギガワット、風力は約4倍の3500ギガワットを超える水準に増やすことを想定している。
また、エネルギー効率を30年までに現在の2倍にする必要があるとも指摘。具体的には、省エネの指標となるエネルギー原単位(一定の製品などを生み出すために必要なエネルギー消費量)の年間改善率を30年までに現在の2倍にすることを想定している。
ジャベル氏は、提言書の中で「化石燃料の段階的削減は不可避かつ不可欠だ。公正で秩序あるエネルギー転換の実現には、再生エネ拡大を急がねばならない」と指摘している。ただし、化石燃料の削減・廃止やその時期を巡っては各国の意見の隔たりが大きい。また、ジャベル氏が国営石油企業のトップを務めていることなどからも、化石燃料を巡る踏み込んだ合意の実現性については懐疑的な見方も多い。【岡田英】
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