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2023.11.02

世界の医師ら「化石燃料廃止を」 COP28での合意求め書簡

 地球温暖化に伴う異常気象で健康被害が深刻化しているとして、世界の医師ら医療関係者の団体が1日、化石燃料の段階的廃止を各国政府に求める書簡を公開した。30日からアラブ首長国連邦(UAE)で開かれる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)での合意を求めている。

 書簡は、COP28の議長国UAEと各国の指導者に対し「健康の基礎となるきれいな空気や水、環境を保つには、化石燃料の完全かつ迅速な廃止が最も重要だ」と呼びかけている。日本医師会が加盟する世界医師会のほか、国際小児科学会や国際看護師協会などが署名し、所属する医療・保健分野の従事者は4630万人以上に上るという。

 気候変動によって、記録的な猛暑や洪水といった異常気象は起こりやすくなり、激甚化しやすくなる。世界保健機関(WHO)などが参加する国際研究チームの分析によると、熱波など極端な高温による2017~21年の死者数は、00~04年より約7割増えた。

 書簡では、温室効果ガスを多く排出する化石燃料への依存を終わらせることが「地球温暖化を抑制し、異常気象による壊滅的な影響から健康を守ることになる」と強調。さらに、化石燃料による大気汚染で年間約700万人が死亡していると指摘し、再生可能エネルギーへの移行によって、ぜんそくを含む呼吸器疾患やがんなどの医療費を毎年数千億ドル減らせるとした。

 また、COP28は産油国で開催されることもあり、化石燃料業界の関係者によるロビー活動についても「気候変動対策を妨害するキャンペーンは許されない」とけん制した。【岡田英】

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