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2023.11.08

温室効果ガス 2030年排出量、「1.5度抑制」目標の2倍超

 地球温暖化による被害をできるだけ少なく抑えるため、国際社会は世界の平均気温を産業革命前から1・5度に抑える目標を掲げている。だが、現行計画通りに化石燃料が生産され続けると、2030年時点の温室効果ガスの年間排出量は、目標実現に必要な水準の2倍を超えるとの報告書を、国連環境計画(UNEP)などが8日発表した。

 今月末からアラブ首長国連邦(UAE)で開かれる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、化石燃料の段階的廃止に合意できるかが焦点の一つ。UNEPのインガー・アンダーセン事務局長は「COP28を機に各国は石炭、石油、ガスの段階的廃止に向けて団結しなければならない」と呼びかける。

 UNEPなどは、世界の化石燃料生産量の8割を占める19カ国の今年8月時点の計画から、今後の世界全体の生産量を予測した。石炭の年間生産量はインドやインドネシア、ロシアを中心に30年時点で20年比10%増で、その後緩やかに減少。石油とガスは増加傾向が続き、50年時点でそれぞれ同29%増、同41%増と見込んだ。

 国際エネルギー機関(IEA)の統計に基づいて、生産と燃焼で生じる温室効果ガスを推計すると、30年時点で1・5度目標の実現に必要な水準の2・1倍に上るとの結果になった。30年以降は減少に転じる見込みだが、減少のペースは緩やかで、50年時点では必要な水準の4・5倍も排出すると予測されるという。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、1・5度目標実現には25年までに排出量を減少に転じさせる必要があると指摘する。UNEPなどは報告書で「石炭を40年までに段階的に廃止し、石油とガスの生産・使用量を50年までに20年の4分の3の水準に減らすべきだ」と提言している。

 各国は発電所などの排ガスから二酸化炭素(CO2)を分離・回収し貯留する技術(CCS)や、空気中から直接回収する技術(DAC)の開発も進めている。報告書では開発、普及が計画通りに進まない場合は今回の分析よりもさらに目標から遠のくため「化石燃料の生産・使用の削減ペースをさらに加速させる必要がある」と指摘した。【岡田英】

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