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2023.11.14

女子高生の声「生理痛でも休めない」 学校内申書に欠席日数欄

 毎月のように女性がつきあう生理。文部科学省は2023年6月に内申書に欠席日数欄を設ける場合、生理など体調不良に伴う欠席が不利にならないよう配慮を求める通知を全都道府県に出した。だが、毎日新聞の全国調査からは、対応にバラつきが生じている実態が浮かぶ。

 若い世代の意見を政治に反映させようと活動する一般社団法人「日本若者協議会」のメンバー、都立高2年の秀島知永子さん(17)は「私の周りでは『生理は我慢するもの』と考えている人が多いです。安心して学べる環境をつくってほしい」と訴える。

 秀島さんも生理中は、腹痛や体調不良に悩まされている。鎮痛剤を服用すれば症状は和らぐが、薬を飲み忘れると痛みがひどくなる。これまでに3~4回、学校を早退した。「保健室で薬はもらえません。授業に遅れるので休みたくはなかったけれど、動けないくらいしんどかったです」と振り返る。

生理でも、教員「頑張ってプールに入った方がいい」

 困ったのは水泳の授業だ。高校1年だった22年夏、生理のため授業に参加できず、後日、200メートルを泳がないといけない「補講」を課された。しかしその日に再び生理が重なってしまった。

 担当の女性教師に相談したところ、「(経血の)量が少ないなら水の中では止まるから体が大丈夫なら頑張って入った方がいい」と言われ、驚いた。本当は嫌だったが、成績への影響を心配し、補講を受けた。学校の対応に違和感が残った。

 秀島さんは、「生徒の間でも生理に関しては『大っぴらに話したくない』『授業に遅れたくない』という気持ちが強い」と明かす。

 欠席日数が成績や大学の指定校推薦へ影響することを心配し、体調が悪くても授業を受けるケースはよくあることだという。「友人のつらそうな様子を見て、生理や病気などやむを得ない場合は欠席扱いとしない制度があればいいと思います。学校は生徒の意見を聞きながら柔軟に対応してほしい」と要望した。

成績・内申不利になるから休めない

 日本若者協議会などは21年10月、小学生から大学生(専門学校生)までの女性を対象にアンケートを実施。9割以上が「生理による体調不良で学校や部活などを休みたいと思ったことがある」と答え、そのうち約7割が「休むのを我慢した」と回答した。

 理由は「成績や内申点に悪影響が出ると思った」が最も多く、出席したことによって「体調が悪化した」「授業に集中できなかった」などの回答が寄せられた。

なかなか広まらない学校での「生理休暇」

 同協議会代表理事の室橋祐貴さん(34)によると、生理休暇制度を設けている学校は「ほとんど聞かない」と言う。教育関係者から「(他の学校での)実践例がないと難しい」と言われたこともある。

 室橋さんは「欠席した授業の補習や公平性の確保といった点で対応策を立てられず学校側が二の足を踏んでいるように見えます」と指摘。「アンケを通し、女子児童・生徒・学生らの生理を巡る関心はとても高いと感じています。議論を進めていくべきだと思います」と期待した。【宮川佐知子】

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