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2023.11.14

古紙利用のエコプラスチック容器づくりに成功 愛媛の産官学で

 愛媛県、愛媛大学と民間企業による研究グループは、古紙を利用したエコプラスチック容器づくりに成功した。古紙パルプの繊維の働きで、プラスチックの強度が増すことも利点となる。脱プラスチックにつながる技術を生かした商品開発が期待される。

 いずれも紙の一大産地・愛媛県四国中央市にある県紙産業技術センター、愛媛大紙産業イノベーションセンター、古紙再生パルプ製造販売の「AIPA(アイパ)」と、プラスチック成形の「鈴木樹脂工業」(同県新居浜市)が共同開発した。

 近年、「持続可能な開発目標」の観点からプラスチックの削減や代替が求められていることで、研究グループは古紙を配合したプラスチック容器づくりに着手した。だが、水になじみやすい古紙パルプと、水と混じりにくいプラスチックは、混ぜ合わせるとダマになって溶けないことがネックとなっていた。

 解決したのが古紙パルプの表面処理だ。パルプ繊維の表面を、プラスチックになじみやすい酸変性樹脂でコーティング。プラスチックの一種・ポリプロピレンを75%、樹脂コーティング後の古紙パルプを25%の割合にして練り合わせた結果、ダマは解消された。また、成形後に引っ張った際の強度は、ポリプロピレン単体と比べ、1・3倍程度に。ポリプロピレンとパルプ繊維が密着し、補強されたと考えられるという。

 研究グループは古紙パルプ20%をポリプロピレンに配合した書類ケースや電源ボックスを試作し、紙産業技術センターの研究成果展示発表会で公開した。植物繊維で補強したエコプラスチックとして、家庭やオフィスなどさまざまな場で使われる製品開発が可能といい、同センターの続木康広・主任研究員は「さらに古紙の割合を増やし、プラスチック削減に結びつけられる製品にも取り組んでいきたい」と話す。

 古紙処理・再生技術に携わってきたアイパの神原聖史マーケティング部課長も「環境問題に貢献できる技術であり、さまざまな分野の商品開発が可能となる」と意欲を見せている。【松倉展人】

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