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2023.11.17

余剰電力で作った水素で路線バスを走らせる 九電と九大が実証事業

 九州電力と九州大学は15日、太陽光発電などの余剰電力で作った水素で路線バスを走らせる実証事業を始めた。福岡市西区の九大伊都キャンパスとJR九大学研都市駅間に燃料電池バス1台を導入し、2025年度まで運行する。

 キャンパス内にある既存の水素ステーションで、電気を使って水素を製造し、バスに補給する。バス(定員78人)はトヨタ自動車の市販車で、昭和自動車(佐賀県唐津市)が運行を担う。大型の燃料電池バスの運行は九州で初めてという。

 日照条件がよく太陽光発電が普及する九州では、天候や季節によっては供給が需要を上回り、発電の抑制が頻発している。電気が余りそうな日に水を電気分解して水素を貯蔵し、バスの燃料とする仕組みづくりが可能かどうかを確かめる。

 バスは、燃料の水素と空気中の酸素が反応してできた電気でモーターを駆動させて走る。エンジンのように二酸化炭素は発生しない。10分で水素を補給し、1度の補給で約100キロ走行できる。当面は1日2往復運転する。

 14日に九大であった式典で、九電の池辺和弘社長は「九州は太陽光などの再生可能エネルギーが豊富だが、電力は大量にためることは難しい。活用できていない電力を最大限活用する、意義のある事業だ」とあいさつした。【久野洋】

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