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2023.11.20

再生エネ「30年までに3倍」 UAEなど誓約、日本も賛同へ調整

 30日に始まる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、有志国が世界全体の再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にする誓約を表明する。日本も賛同する方向で調整している。

 誓約は議長国のアラブ首長国連邦(UAE)と米欧が主導。12月1、2日の首脳級会合に合わせた公表が想定される。日本政府関係者が明らかにした。

 毎日新聞が入手した誓約案によると、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える国際目標の実現に向けて、再生エネの設備容量を30年までに少なくとも1万1000ギガワットにする必要があると明記している。国際エネルギー機関(IEA)によると、この規模は22年時点(約3630ギガワット)の3倍に相当する。

 また、エネルギー効率の改善率を世界平均で年2%(22年)から30年までに年4%超に倍増させることも目指す。排出削減対策の取られていない石炭火力発電の段階的削減や、石炭火力への新規投資を止めることも誓約案に盛り込んでいる。

 「再生エネ3倍」目標は、9月の主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言にも盛り込まれたほか、米中両政府も14日に発表した共同声明でこの目標を支持。少なくとも数十カ国が誓約に賛同するとみられる。UAEはCOP28で全会一致で採択する合意文書にも「再生エネ3倍」を盛り込むことも視野に、新興国を中心に働きかけを強めている。

 IEAによると、太陽光発電と風力発電は「前例がない」ペースで拡大を続けており、3倍は現実的な数字だという。3倍が実現すれば、23~30年の間に二酸化炭素(CO2)約70億トンの排出回避につながる。これは、世界最大のCO2排出国・中国の電力部門からの排出量1年分に相当するという。

 一方、日本の現行計画では、再生エネ導入量は30年度までに21年度の1・6~1・7倍にとどまる。政府関係者は「国内には再生エネ設備の適地も限られており、日本だけで3倍に拡大するのは難しいが、世界全体での拡大に協力はできる」とし、誓約に賛同することには問題がないとの認識を示した。【岡田英、ニューヨーク八田浩輔】

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