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2023.11.20

気温、今世紀末で2.9度上昇の恐れ 各国の温室ガス目標達成でも

 各国が掲げる温室効果ガス排出削減目標が達成できたとしても、世界の平均気温は今世紀末までに産業革命前から2・5~2・9度上回る可能性があるとの報告書を、国連環境計画(UNEP)が20日公表した。現行の計画と「1・5度上昇にとどめる」という世界共通目標実現の道筋とは大きな隔たりがあることが、改めて明らかになった。

 30日からアラブ首長国連邦(UAE)で開かれる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、1・5度目標実現に向け、対策の進捗(しんちょく)評価を初めて行い、各国の対策強化につながるような合意文書採択を目指す。報告書は議論の基礎資料となる。

 報告書によると、2022年の世界全体の排出量は二酸化炭素(CO2)換算で574億トン。過去最高だった21年から1・2%増え、記録を更新した。このままでは30年には560億トンに達すると予測されている。1・5度目標を達成するには30年時点の排出量を、この予測値から42%(240億トン)減らす必要がある。だが、各国の現在の目標のままでは2~9%しか減らないと推計されるという。

 報告書は、最も楽観的な想定でも気温上昇を1・5度に抑えられる可能性はわずか14%と見積もった。そのうえで「『1・5度』への窓を開けておくには、この10年で排出削減を大幅に加速させるしかない」と指摘した。

 COP28での議論の結果に基づき、各国は35年までの排出削減目標を検討し、国連に25年までに報告することになる。国連のグテレス事務総長は「現在の傾向は未来のない『約3度上昇』という事態に地球を追い込んでいる。COP28は飛躍的な対策強化の道筋を示す場にしなければならない」と呼び掛けた。

 条約事務局も14日、各国の現行目標についての分析結果を公表。目標通りに削減しても、30年の世界全体の排出量は19年比で2%減にとどまり、1・5度目標実現に必要な「19年比43%削減」に遠く及ばないと評価している。【岡田英】

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