UAE、COP28を石油・ガス取引の商機に利用?　BBC報道

　英BBC放送は27日、アラブ首長国連邦（UAE）が30日から自国で開催する国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議（COP28）を利用し、複数の参加国に石油・ガスの輸出取引などを働きかける計画を進めていると報じた。非営利の調査報道グループ「気候変動報道センター」（CCR）が内部告発を通じて入手したとする文書を基に伝えた。

　COP28で議長を務めるUAEのジャベル産業・先端技術相は、アブダビ国営石油会社（ADNOC）と国営の再生可能エネルギー企業の最高経営責任者を兼務している。

　報道によると、文書はCOP28期間中に予定されているUAEと参加国の2国間会合を前に作成されたもの。15カ国に対し、ADNOCから石油・ガス開発での協力などを持ちかける内容が含まれていたという。BBCは議長国に公平性を求める同条約の行動基準に抵触する可能性があると指摘した。

　COP28の広報担当者は毎日新聞の取材に「報道で言及された文書は不正確で、COP28のために使用されたものではない」と否定した。

　化石燃料に依存する社会からの移行を話し合うCOPで、石油・ガス業界の重役が会議をリードするのは利益相反に当たるとして環境団体などから懸念が広がっていた。国連のグテレス事務総長は27日、報道について、記者団に「信じられない」と述べるにとどめた。

　国際エネルギー機関（IEA）は、地球の気温上昇を産業革命前から1・5度に抑えるには、新たな化石燃料プロジェクトへの投資を避ける必要があると指摘する。【ニューヨーク八田浩輔】