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2023.11.30

2023年は観測史上最も暑い年に 世界の平均気温、WMO速報値

 世界気象機関(WMO)は30日、2023年の世界の平均気温は記録のある1850年以降で最も高くなることが確実になったと発表した。1~10月の気温は産業革命前より約1・4度高く、これまでの記録だった16年(産業革命前比プラス1・29度)などを上回る見込みだという。

 WMOは同日開幕した国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に合わせ、10月末までのデータを基に、今年の気候についての暫定的な報告書を公表。国連のグテレス事務総長は「私たちは気候の崩壊をリアルタイムで経験している。そしてその影響は壊滅的だ。(この記録が)世界の指導者たちが行動を起こすきっかけになるはずだ」と、COP28で気候変動対策を加速させることの必要性を強調した。

 報告書によると、6~10月は5カ月連続で各月の観測史上最高を記録し、特に7月は観測史上「最も暑い月」となった。また、この夏は南ヨーロッパや北アフリカで猛暑が続き、イタリアで48・2度、モロッコでは50・4度を観測した。気象庁によると、日本も6~8月の平均気温が平年を1・76度上回り、1898年の統計開始以来最高だった。

 世界の海面水温は7~9月、各月の過去最高記録を大幅に更新。南極周辺の海氷面積は2月、1979年の衛星観測開始以来、最も小さくなった。氷河や氷床が解けたことなどにより、海面上昇は加速しており、世界の平均海面水位は1993年の観測開始以来、最高になるという。

 世界各地で発生した山火事や洪水も地球温暖化の影響が指摘されている。カナダでは10月中旬までに1850万ヘクタールが焼失する山火事が発生。北アフリカのリビアでも9月に大洪水が起き、多数の犠牲者が出た。

 WMOのターラス事務局長は今回の報告書について「これは単なる統計ではない。異常気象は日常的に人命と生活を破壊しており、誰もが守られるようにすることが急務だ」と訴えた。

 報告書では、南米ペルー沖の海面水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」が23年春に発生した影響で、24年の暑さにも「拍車がかかる可能性が高い」と指摘している。【山口智】

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