2023.12.02
マクロン仏大統領、G7に2030年までの石炭火力「終止符」を要請
フランスのマクロン大統領は1日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の演説で、主要7カ国(G7)は2030年までに石炭火力発電に「終止符を打つ」よう促した。石炭火力への依存度が高く、廃止の年限を定めていない日本に公の場で圧力を強めた形だ。
首脳級会合で演説したマクロン氏は、二酸化炭素(CO2)排出量の多い石炭への投資は「実にばかげたことだ」と指摘。地球の平均気温の上昇幅を産業革命前と比べ1・5度に抑える目標の達成に向け、先進国は模範を示した上で、途上国の石炭火力からの移行を支援すべきだとした。フランスはCOP28で米国と共に石炭火力の禁止に向けた有志連合を発足させる方針。
岸田文雄首相は1日の演説で、国内でCO2の排出削減対策を講じていない石炭火力は新設しないと表明したが、稼働中の発電所の廃止時期には言及しなかった。
今年4月のG7気候・エネルギー・環境相会合では、英国や米国などが共同声明に石炭火力の廃止時期を明記することを求めたが、日本の反対で見送られた経緯がある。国連のグテレス事務総長も、経済協力開発機構(OECD)の加盟国は30年までに、それ以外の国は40年までに石炭火力を段階的に廃止するよう求めてきた。
COP28では、成果文書に石炭を含むすべての化石燃料の段階的廃止・削減を目指す方針を明記できるかどうかが大きな焦点になっている。【ニューヨーク八田浩輔】
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