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2023.12.03

流行語に「地球沸騰化」 サバ養殖に取り組む社長が受賞者に

 福井県若狭地方名産のサバの完全養殖に取り組む田烏水産(同県小浜市)の横山拓也社長が、1日発表された「現代用語の基礎知識選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10入りした「地球沸騰化」の受賞者に選ばれた。同社では今夏の猛暑で、飼育していたサバが大量死しており、横山社長は海水温の上昇に警鐘を鳴らしている。【高橋隆輔】

「海から逃げずに向き合いたい」

 「地球沸騰化」は、今年7月の世界平均気温が史上最高になったことを受け、国連のグテレス事務総長が発言した。この暑さの影響で、同社は当時飼育していたサバ3600匹のうち9割近い3190匹が9月末までに出荷できずに死んだ。大量死は、イメージの悪化を懸念して公表をためらう事業者も多いが、横山社長は「発信しなければ永遠に問題にふたがされる」と積極的に公表し、話題となった。

 表彰式後、横山社長は「最初は『なぜ私が』と戸惑った。苦労した一次生産者や熱中症対策に頑張った方々などを代表していただいたんだと思うと、責任の重さを感じる」と感想を述べた。完全養殖実現への使命感もより強まったといい、「人間の都合のいいように技術で解決しようとするのではなく、海から逃げずに向き合いたい」と決意を新たにしていた。

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