2023.12.05
今年のCO2排出量、過去最高に 中国ロックダウンからの反動など
石炭など化石燃料の燃焼による今年の二酸化炭素(CO2)排出量は368億トン(2022年比1・1%増)で、過去最高になる見通しを国際研究チーム「グローバル・カーボン・プロジェクト」が5日発表した。新型コロナウイルス大流行の前(19年)を1・4%上回ると予測されるという。
分析結果は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に合わせて公表された。
チームによると、世界全体の排出量は新型コロナ大流行を受けた経済活動の停滞で20年は前年より減少したが、21年以降は増加が続く。世界最大の排出国・中国は新型コロナ感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)からの反動が遅れてやってきたことなどにより、22年比4・0%増。世界3位のインドは電力需要の高まりに伴って特に石炭消費が拡大し、同8・2%増と予測されるという。
一方、減少する見通しの国・地域は20以上あり、2位の米国は同3・0%減。欧州連合(EU)は再生可能エネルギーの導入拡大に加え、エネルギー価格の高騰によって石炭と天然ガスの消費が減少し、同7・4%減と見込まれる。日本は同0・8%減の見通し。
国際社会は世界の平均気温を産業革命前から1・5度上昇にとどめるという目標を掲げる。チームによると、一部の国・地域が減少に転じても、世界全体で増加が続いているため、現在のペースでCO2排出が続くと、50%の確率で1・5度目標を実現するために残された総排出量をあと7年で使い切ってしまうという。
COP28は、化石燃料の段階的廃止や削減に合意できるかが焦点だ。チームは「最新のデータは、世界全体で温室効果ガス実質排出ゼロに向けて削減軌道に乗せるには、現在の取り組みは十分ではないことを示している。各国の指導者たちは、化石燃料使用に伴う排出量を急速に減らすことに合意しなければならない」と指摘する。【山口智、ドバイ岡田英】
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