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2023.12.06

防災気象情報の基準や名称、統一へ 洪水警報など分かりやすく

 気象庁と国土交通省は6日、洪水警報などの防災気象情報を見直すための有識者検討会を開き、情報を出す基準や名称を統一する見直し案を示した。検討会は見直し案をもとに2024年に報告書をまとめ、運用を始める。開始時期は未定。

 検討会は、これまで多岐にわたりばらつきのあった防災気象情報をシンプルに整理して住民にわかりやすく伝えるため、22年1月に設置された。防災気象情報は、警報や注意報に加え、線状降水帯の発生を含む「顕著な大雨に関する情報」など災害への危険性を呼びかけるもの。気象庁や国交省が発表し、この情報に基づいて自治体が避難情報を住民に向けて出している。

 これまで大規模な災害が発生する度に新たな情報が加わり、大雨や大雪のほか、暴風、洪水、高潮、土砂災害などがある。さらに、内閣府が19年から住民が取るべき避難行動のレベルを5段階に分類した結果、名称にばらつきが出た。

 例えば、土砂災害への警戒は5段階のうち、レベル2は「大雨注意報」、レベル4は「土砂災害警戒情報」などで、警戒度の高まりが分かりづらい。気象庁の担当者は「いろいろな省庁がばらばらに情報を流すようになり、整理ができなくなった」と打ち明ける。

 6日に示された見直し案では、土砂災害については「土砂」を全ての名称に含めて統一的な情報に変更することになった。また、これまで「洪水警報」「氾濫注意情報」など名称も基準もばらばらだった中小河川については水位の基準だけをもとに統一的な情報を発表することになった。

 検討会は今後、防災気象情報の具体的な名称などについて協議する。気象庁の担当者は「非常に大きな見直しになる。分かりやすい名称になるよう議論していきたい」と話している。

自治体から「分かりにくい」と指摘相次ぐ

 防災気象情報を巡っては自治体から「警戒レベルとの関係が分かりにくい」などの指摘が相次いでいた。

 大雨警報と洪水警報がレベル3なのに対し、高潮警報はレベル4であることなど、名称とレベルの整合性がとれていないためだ。

 気象庁が2022年に公表した全国の住民(2000人が回答)を対象としたアンケートでも55・1%が防災気象情報について「情報の種類が多すぎて分かりにくい」と回答している。

 名称だけでなく、情報を出す基準についても機関ごとでばらつきがある。

 全国に1774ある中小の河川について、気象庁と、河川管理者である国土交通省・都道府県は、それぞれ防災気象情報を発表している。しかし、気象庁は市町村単位で、国交省・都道府県は河川単位で情報を出している上、情報を出す数値の基準も異なる。

 気象庁は雨量から河川の流量を算出した災害発生リスクを示す「流域雨量指数」を使っているのに対し、国交省・都道府県は河川の水位だけで判断している。6日に示された見直し案は、河川単位に一本化した上で水位だけで情報を出す仕組みに統一する内容で、国交省の担当者は「水位は実際に観測しており、災害の切迫度を示すには一番確実だ」と強調する。

 22年の台風15号で市内を流れる中小河川の巴川が氾濫した静岡市の担当者は「市の面積が広いため、河川単位の方が地域を絞れる。住民にも伝わりやすくなるだろう」と受け止める。一方、河川の水位については「参考情報の一つだ。雨量や河川カメラなどさまざまな情報をもとに、避難情報を判断したい」としている。【島袋太輔】

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