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2023.12.08

COP28、閣僚級の交渉始まる 焦点はガス排出削減目標などの合意

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で8日、閣僚級の交渉が始まった。2030年代の温室効果ガス排出削減目標や、化石燃料の段階的廃止・削減で合意できるかが焦点だ。日本からは伊藤信太郎環境相が9日から出席する。

 COP28では、気候変動対策の進捗(しんちょく)評価を踏まえ、各国に対策強化を促す合意を目指している。5日に公表された合意文書の草案では、世界の平均気温を産業革命前から1・5度上昇に抑える目標実現に向け、世界全体の排出量を「2025年までに減少に転じさせ、30年までに19年比43%削減、35年までに60%減とする必要がある」との案が盛り込まれた。ただし「数値目標に言及すべきではない」という意見もあり、閣僚級で詰めの協議を続ける。

 草案には「化石燃料の段階的廃止」「排出削減対策のとられていない石炭火力発電をこの10年で急速に廃止」といった欧州連合(EU)などが求めている提案も選択肢として示された。交渉関係者によると、化石燃料の段階的廃止には産油国が、石炭火力の急速な廃止にはインドや中国が反対しているという。

 途上国の間では、化石燃料から再生可能エネルギーに移行するうえで資金や技術の支援を求める声が強い。スティル条約事務局長は6日の記者会見で「善意だけではこの10年で排出量を半減させることはできない」とし、途上国への資金支援のあり方についても交渉を前進させることが必要との認識を示した。【ドバイ岡田英】

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