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2023.12.09

化石燃料の「段階的廃止」が軸 COP28合意文書草案

 アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、条約事務局は8日、合意文書の新たな草案を示した。最大の焦点となっている化石燃料を巡る今後の方針については「段階的廃止」とする案が軸になっている。

 COP28では、気候変動対策の進捗(しんちょく)評価を踏まえ、合意文書に各国に対策強化を促す強い文言を盛り込むことを目指している。8日公表の草案では、化石燃料について五つの選択肢が示され、うち4案に「段階的廃止」という言葉が明記された。この中には「(温室効果ガスの)排出削減対策が取られていない化石燃料の使用をこの10年で頭打ちにさせ、2050年までにエネルギー部門の大部分を化石燃料から脱却させる」といった年限を定めて廃止を目指す案も入った。ただし、段階的廃止に言及しないという選択肢も残っている。

 交渉関係者によると、全締約国の半分を超える100カ国以上が「段階的廃止」に言及する案を支持しているが、サウジアラビアなど一部の国が強く反対しているという。

 新たな草案では、世界の平均気温を産業革命前から1・5度上昇に抑える目標実現に向け、世界全体の温室効果ガス排出量を「25年までに減少に転じさせ、30年までに19年比43%削減、35年までに60%減とする必要がある」との案が引き続き残った。COP28の会期は12日までの予定で、合意文書案の取りまとめに向け、9日も断続的に非公式の交渉が続いた。【ドバイ岡田英、八田浩輔】

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