ソーシャルアクションラボ

2023.12.13

段ボールの寝具、新聞紙のスリッパ手作り 小学生、避難生活を体験

 地域の子どもたちに災害時の避難所生活を疑似体験してもらおうと、群馬県館林市城沼公民館(樺沢聡館長)で1泊2日の宿泊体験が行われた。市防災士連絡会の防災士、北本貴光さん(50)の指導のもと、小学3~6年生約20人が段ボールを寝具にしたり、新聞紙でスリッパを作ったりし、友達同士が「手作りのプライベートルーム」で語り合った。

 体験学習を通じて自主性を身につける同館の企画「城沼ちゃれんじクラブ」の一環で、11月24、25日に実施された。同館は県内で多くの被害が出た2019年の台風19号の際に避難所が開設された。

 夕食は、湯を入れるだけで米が炊けるアルファ米と即席みそ汁を自分たちで作った。その後、段ボールを使って寝具を作製。就寝時に音を遮断して個人の空間を確保できるよう上半身を覆う形にし、内側には思い思いの絵を描いた。冷気を避けるための「敷布団」も段ボールで作り、同館のロビーに並べてから各自用意した寝袋や毛布にくるまって休んだ。足を守るために使えるスリッパも、新聞紙で作った。

 北本さんが実際に電気を消し、LEDランタンを一つだけ照らすと「わあ、暗い」「何も見えない」などの声が。北本さんは「足元が見えないので、スリッパはとても大事」と指摘。おでこにLEDヘッドライトを点灯して「足元の危険物も見つけられるし、両手も使える。お家に用意した方がいい」と呼びかけた。

 市立第二小5年の荒井惟那さんは、段ボール寝具の内側にいくつもの流れ星を描いた。「アルファ米は硬くて食べにくかった。家族とキャンプによく行く時は、柔らかい布団を用意できるけど、今回は硬くて少し痛い。でも不便を知ることで将来に役立てられる」と笑った。

 樺沢館長は「災害は突然やってくるし、子どもだからと容赦はしない。だからこそ、用意されたものではなく、あるものを工夫して作り上げることの大事さを身につけてほしかった」と話した。【上鵜瀬浄】

関連記事