ソーシャルアクションラボ

2023.12.22

「ダブルマイノリティー」安心して利用できる場所に 大阪で就活支援

 障害のあるLGBTQなど性的少数者らの就職を支援しようと、東京の認定NPO法人「ReBit(リビット)」が、大阪市北区に2カ所目となる就労移行支援事業所「ダイバーシティキャリア大阪」をオープンした。“LGBTQフレンドリー”を前面に打ち出し、LGBTQの先輩社会人による講座や、多様性を推進する企業との交流といった多様な支援を用意しているのが特徴だ。

 リビットは2013年から就活支援を始め、21年に同事業所を東京・渋谷に開いた。全国でも例がない事業所といい、LGBTQかつ精神・発達障害者という「ダブルマイノリティー」を中心に年間延べ4000件もの相談が寄せられ、大阪でも支援に乗り出した。

 LGBTQであることは障害ではないが、いじめやハラスメントを受ける中で精神障害を発症する人は少なくない。リビットが23年1~2月に性的少数者を対象に実施したアンケートによると、障害や生活困窮で行政・福祉サービスを利用した人の約8割が、支援者側の無理解などで「困難を経験した」と回答。うち3人に1人は心身に不調をきたし、5人に1人が自殺を考えていた。

 「管理責任者にだけカミングアウトしたら、全てのスタッフに伝わり、腫れ物を扱うような対応をされ、うつが深刻化した」「自認する性は男性なのに、女性物のスーツを着るように指示され、従えないなら来ないでと言われた」などの相談も寄せられているという。

 薬師実芳(みか)代表理事(34)自身も、ダブルマイノリティーとして苦しんだ一人だ。発達障害の一つ「注意欠陥多動性障害(ADHD)」の特性で、細かいことに注意を払うのが苦手で、就職先では「やる気がないからミスをする」と叱られた。さらに出生時の性と異なる性を自認する、トランスジェンダーであることを暴露され、自律神経失調症になり入社半年で退職。「安心して相談できる場所がない」と感じ、支援の拡充に奔走してきた。

 薬師さんは「LGBTQも安全に福祉を使える地域づくりに貢献していきたい」と話している。利用相談は無料。電話(06・6766・4969)やホームページ(https://diversitycareer.org/contact/)などから。【木村綾】

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