ソーシャルアクションラボ

2023.12.22

企業のLGBTQ支援取り組み、きっかけ最多は「従業員からの要望」

 LGBTQなど性的少数者を支援する企業の取り組みのきっかけは、「従業員からの要望」が最多――。企業向け人事システムを提供する「ワークスヒューマンインテリジェンス」の調査で、こんな実態が明らかになった。次いで多かったのは「経営層の支援宣言」で、調査担当者は「ボトムアップとトップダウンの両方からの働きかけが大きな後押しになっている」と話している。

 調査は8~10月、取引先の大手企業を対象に実施し、36社から有効回答を得た。回答企業の従業員数の平均は約2500人。

 調査結果では「差別禁止の明文化」「同性パートナーを福利厚生の対象にする」など15の施策のうち、少なくとも一つ以上の施策を「実施中」または「検討中」と回答した企業の割合は86・1%となり、2021年の前回調査より2年間で15・3ポイント増加。取り組みが広がりつつあることがうかがえた。

 取り組み推進の後押しになった最大の理由としては、「従業員からの要望」が45・2%と最多で、「経営層の支援宣言」(35・5%)、「外部機関の協力」(19・4%)が続いた。

 一方で、取り組みが進んでいない理由を尋ねたところ、「優先順位が高くない」が52・8%を占め、次いで「何をすればよいか分からない」が25・0%だった。調査担当者は「従業員からの要望が出ることにより、優先順位が高まったり、具体的な対応方針の検討が進んだりするなど、施策が進むことにつながっているともみられる」と分析。「要望が顕在化しないからといって、当事者がいない、要望がないとは言えないが、日ごろから従業員の声を広く集める機会や仕組み、声をあげやすい社内文化の形成が必要だ」と指摘している。【町野幸】

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