ソーシャルアクションラボ

2024.01.10

高齢者の誤嚥、持病、認知症の人の環境作り…避難生活で注意したい点

 能登半島地震の被災地では多くの高齢者が避難している。避難生活で、高齢者が特に気をつけたい健康管理や、認知症の人への支援のポイントとは? 厚生労働省が被災自治体への事務連絡(https://www.mhlw.go.jp/content/001186815.pdf)で周知を呼び掛けているガイドを基にお伝えします。

食事の注意点

 まず注意したいのは誤嚥(ごえん)だ。東日本大震災では乾パンやおにぎりなど、高齢者にとってはのみ込むことが難しい食品も多かった。細かく刻むなどして食べやすい食事を用意するとともに、果物や缶詰など水分が含まれるものは優先的に高齢者に行き渡るようにしたい。

高血圧や糖尿病の人は……

 高血圧の治療薬を常備できていない場合もあり、血圧を上げやすい菓子やインスタント麺はできるだけ控えたい。好ましい食品としては、アルファ化米や乾パンなどがある。

 糖尿病の人も同様に、避難所に多く届けられがちな菓子やインスタント麺は避けたい。塩分が高かったり高エネルギーだったりするためだ。低エネルギーの食品や、低血糖をコントロールするためのアメなどの準備があるとよい。食事の時間をできるだけ規則的にすることも大切だ。

エコノミークラス症候群を予防するために

 まず、座ってできる予防体操を紹介する。

①首の運動 まず前後。前に10秒、後ろに10秒。左右も10秒ずつ。倒した反対側の肩が上がらないよう注意する。

②上半身の運動 肩の高さに手を組み、前に伸ばして左右にひねる。10秒ずつ1、2回。さらに組んだ手を上に上げ、左右に体を倒す。こちらも10秒ずつ1、2回。

③肩の運動 思いっきり肩を上げ、ストンと落とす。4、5回行う。

 次に、寝転がった状態でできること。

①足首の曲げ伸ばし 10回程度行う。

②足指の運動 足の指でグー、チョキ、パーを作るように動かす。こちらも10回程度。

認知症の人に必要な環境作りとは

 認知症は急激な環境の変化についていくのが難しい病気でもある。ただ、避難生活の環境次第で不安を軽減することもできる。東日本大震災の避難所支援者アンケートでは、認知症の人が避難所生活を継続するために必要だったこととして、認知症の人専用スペースの確保▽専用のオムツ交換や排せつスペース▽落ち着く静かな環境▽顔見知りの人が近くにいる環境――といったポイントがあった。

認知症の人との関わり方は

 東日本大震災では「近くに認知症に詳しい介護経験がある人や、認知症サポーターがいるか確認し、避難所全体で協力し対応することでしのぐことができた」という声もあった。まずは認知症に詳しい人がいないか確認を。

 詳しくなくても、理解があれば共にいることができる。接し方のポイントは①驚かせない②急がせない③自尊心を傷つけない④介護者への声かけ――という。認知症の本人だけではなく、介護者の状況を理解し、支援する人も必要だ。

 詳細は、認知症介護情報ネットワークのホームページ(http://www.dcnet.gr.jp/earthquake/)でも確認できる。【宇多川はるか】

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