2024.01.15
避難生活や車中泊が続き抑うつ症状も 精神科医訴える「必要な支援」
能登半島地震で、茨城県は被災者を支援するために医師ら専門家を石川県に派遣している。精神科医として派遣された茨城県立こころの医療センター地域・災害支援部長の高橋晶筑波大准教授(災害・地域精神医学)は「長期化を見据えた支援が必要だ」と話す。
高橋さんは災害派遣精神医療チーム(DPAT)をつくる精神保健福祉士や看護師ら4人と派遣され、7~9日に金沢市内の避難所で、高齢者や障害者ら住民のケアに当たった。「皆さん、想像を絶する地震を経験して命からがら逃げてきた。地震がいつ繰り返すかわからない予期不安があった。怖がって親から離れられない子供もいた」と振り返る。
高橋さんによると、避難所での生活や車中泊が続き、不安や抑うつ症状が出て眠れない人もいる。高齢者も多く、認知症の人たちの支援も必要になっているという。
病院や介護事業者の職員、市職員ら支援をする側も被災し、避難所から職場に通う人や、車が壊れて破断した道を歩いて出勤する人もいる。疲労も深刻で、高橋さんは「こうした人を支えなければ早期の復興は難しい」と言う。
茨城県からどんな支援ができるのか。高橋さんは「求めていない物を大量に送られると困ることもあるので、金銭的支援が助かるだろう。ねぎらいも必要で、石川県に知り合いがいたら、連絡して心配している気持ちを伝えてほしい」と話す。「茨城にとっても震災は決して人ごとではない。自分の防災グッズの見直しや、避難経路の確認などをして備えてほしい」と強調した。【信田真由美】
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