ソーシャルアクションラボ

2024.02.06

仙台の同性カップル、家事審判申し立てへ「婚姻届不受理なら違憲」

 仙台市が婚姻届を受理しないのは婚姻の自由を保障する憲法13条に違反するなどとして、同市在住の同性カップルが、受理を認めるよう仙台家裁へ家事審判を申し立てる方針を固めた。支援する弁護団によると、同性婚を巡り、違憲性を訴える司法手続きは東北地方で初めてとみられる。

 申し立てるのは、LGBTQなど性的少数者らでつくる市民団体「にじいろCANVAS」共同代表の小浜耕治さん(61)とパートナーの男性(79)=いずれも同市太白区。小浜さんが6日、同区役所へ婚姻届を提出した。弁護団によると、婚姻届は不受理となる見込みで、14日にも家事審判を申し立てる。

 婚姻届を提出後、市内で記者会見した小浜さんは「性的マイノリティーが制度の枠から外れている現状に声を上げたことを広く受け止めてもらいたい」と強調。「社会を本気で変えたいと思っている」と訴えた。

 小浜さんによると、2人は1993年にバーで出会ったのをきっかけに交際を始め、95年から同居している。家族同然に暮らしてきたが、パートナーが高齢になり、近年は手術時の家族による同意や相続など、婚姻関係が認められないことで生じる将来への不安があるという。

5地裁の判断分かれる

 同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定が憲法に違反するかが争われた裁判を巡っては、これまで全国5地裁で国家賠償請求訴訟が起こされた。判決では札幌地裁と名古屋地裁が「違憲」、大阪地裁は「合憲」、東京地裁と福岡地裁が「違憲状態」と判断。司法判断は分かれ、いずれも高裁で審理が続く。

 一方、今回の2人のケースでは当事者が高齢のため、相手方がおらず司法判断までの期間が短い家事審判を選ぶことにしたという。弁護団は「2人の婚姻を(行政に)認めてもらうことを目指すと同時に、性別や性的指向で結婚ができない状況はおかしいということを改めて訴えたい」と述べた。【遠藤大志】

関連記事