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2024.02.08

家庭の廃プラを資源化 油に戻す実証実験 大分・国東市とエネオス

 大分県国東市は、石油元売り大手のENEOS(エネオス)ホールディングス(HD)と連携し、家庭から出た廃プラスチックを油に戻し、再び資源化できるかを調べる実証実験を7日から始めた。同社によると、石油元売りが自治体と組んで実験するのは国内初という。【大島透】

 市によると、市内150世帯を対象に毎週水曜、コンビニ弁当などの容器、食品トレー、発泡スチロール、菓子の包装紙などを回収。対象世帯には、専用のごみ袋を配布し、2カ月間で1・6トンの回収を目指す。

 市は現在、ペットボトルのみを分別回収しており、その他のプラごみは可燃ごみ扱いだ。このため、環境衛生課は「これまで焼却してきた廃プラを分別すると、ごみの量は激減するはず」と期待を寄せる。その一方で、分別対象か迷った場合は「可燃ごみに分類してほしい」と呼び掛けている。

 プラスチック循環利用協会によると、2021年の国内の廃プラは9割弱が何らかの形で活用されたが、再びプラスチック製品・材料として生まれ変わったのは約2割にとどまる。一方、約6割が燃やされて発電などに利用されており、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を増やす結果となっている。このため、今回の実験のような化学原料に戻す「ケミカルリサイクル」の手法の確立に注目が集まっている。

 1日には市役所で共同研究の契約締結式があり、松井督治市長と同社未来事業推進部の長沼亨部長が署名した。

 記者会見した長沼部長は「家庭ごみでの実験には自治体の協力が不可欠だ」と話し、昨春から協力自治体を探し始めるも、なかなか見つからず、国東市が第1号になった経緯を説明した。その上で「今後のハードルは異物の混入が許容範囲内かどうか。家庭の廃プラを原油同様に戻せれば、画期的な先進例になる」と語った。

 一方、松井市長は「二酸化炭素排出量を減らすには、できることから一歩を踏み出すことが大切だ」と話した。

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