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2024.02.14

「気軽に来て」 断水続く石川・珠洲で井戸掘り、洗濯場を提供

 能登半島地震で断水が長期化している石川県珠洲市で、寺の境内に井戸を掘り、洗濯できる場を近隣住民に提供し始めた女性がいる。「過去の災害から洗濯ニーズの高さは知っていた。衣服が汚れたままでたまっていくのは相当なストレスになるので役立てれば」との思いからだった。

 市役所近くにある乗光寺の坊守(浄土真宗で住職の妻)、落合誓子さん(77)。1月22日に井戸掘りのボランティアが境内を掘り進めると、6メートルほどで、少し硫化水素の臭いがする十数度の水に当たった。1分間に約60リットルが湧き「これなら洗濯に使える」。洗濯機の購入費などにと2月1日にフェイスブックで募金を呼び掛け、2日ほどで20万円以上が集まった。

 災害ボランティアの力も借りてまず2台を設置し、2月9日にひっそりと始めると、聞きつけた3人ほどが早速利用に訪れた。寺の近くに住む女性(66)は「本当にありがたい。洗濯できないストレスがなくなった」。

 11日までに2台追加し、食器の洗い場や井戸端会議もできるテーブルと椅子も設けた。落合さんは「口コミで利用者も少しずつ増え、泣いて喜んで『これでゆっくり寝られます』と話す方もいた。気軽に来てほしい」と呼び掛ける。【山中宏之、柴山雄太】

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