2024.02.27
消防団に外国人、任用進む 災害時の言葉の壁、解決に期待 神奈川
言葉の壁によって災害時に情報が行き届かない外国人の避難誘導やサポートなどを担ってもらおうと、神奈川県内各地の消防団で外国人の任用が進んでいる。その一つが横浜市で、担当者は「文化や言語によるコミュニケーションの課題の解決に期待したい」と話す。【牧野大輔】
県内で外国人が最も多く居住する横浜市では、過去の災害時に消防団員が外国人への対応に困ったケースなどがあり、2020年から外国人の消防団任用を開始。全消防団員1万7798人のうち外国人は53人(14カ国)で、災害現場の避難誘導や避難所の通訳業務などを任されている。
このうち、外国人10人が所属する南区の消防団では、外国人6人と英語が話せる日本人6人の計12人で「外国人防災指導チーム」を21年に発足。地域の防災訓練などで消火器の使い方を外国人に教えたり、商店街で熱中症の注意を中国語や韓国語で呼びかけたりする活動を展開する。南消防署の渡辺盛行消防団係長は「地元の商店街で働く人もいて、地域のためにやりがいをもってやってくれている」と話す。
外国籍住民が人口の約8%を占める愛川町では、災害時に満遍なく支援を届けるため、外国人を中心とした消防団チームの創設を進める。消火活動ではなく、言語支援に特化した「機能別消防団員」として活動することを想定しており、防災パンフレットの翻訳など啓発広報活動を中心に従事する。
7月までの創設を目指しており、町の担当者は「外国の方にも安全に過ごしてもらえるような町にできれば」と話している。
総務省消防庁によると、全国では外国籍の消防団員は昨年4月時点で479人に上る。消防団員は非常勤特別職の地方公務員で、内閣法制局が1953年に示した「公権力の行使には日本国籍が必要」という見解を基に、各自治体が外国人消防団員の活動範囲について判断している。
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