ソーシャルアクションラボ

2024.03.02

個性を生かせ、まず大人が 保育士のネイルとヘアカラー解禁決断

 東海地方を中心に七つの保育園を運営する「こどものまち」(名古屋市北区)が今春、保育士のネイルとヘアカラーを解禁する。保育の世界では黒髪に地味な服装という慣行が根強いが、山田清隆社長(36)は「自分の個性を大事にされていない保育士が、子どもの個性を大切にできるわけがない」と話す。

 ヘアカラーは3月から、ネイルは4月から解禁する。ネイルについては、子どもの誤飲を防ぐためデコレーションネイル(デコネイル)は引き続き禁止し、衛生のため塗料の種類にも留意を求めるなど一定のルールを設ける。

 保育の現場では、黒髪もしくは暗い色のヘアカラー、地味な服装、ネイルは禁止という昔ながらの慣行が広く残っている。山田社長は「どちらも保育する上で支障がないもの」と指摘。「未来に生きる子どもたちを育てる場なのだから、新しい価値観に基づいた保育が必要」と解禁に踏み切る理由を説明する。

 保育士不足や離職率の高さも今回の決断の背景にある。運営する7園では計約110人が勤務しているが、年間2割前後が離職し、常に保育士を募集しているのが現状だ。山田社長は「『自分らしく働きたい』『私らしさを認めてほしい』という欲求に応え、働く人に選ばれる会社になりたい。いい人材を確保することが、保育の質の向上につながる」と話している。【荒川基従】

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