ソーシャルアクションラボ

2024.03.25

LGBTQ想定の商品設計、地域金融機関は2割 高い意識と落差

 住宅ローンなどの金融商品で、性的少数者を顧客として想定した商品設計を行っている地域金融機関は2割にとどまるとの調査結果を、みずほリサーチ&テクノロジーズが25日、公表した。一方で、金融機関のサービスで性的少数者を排除しない環境作りに前向きな回答は9割を超え、いかに実際の取り組みにつなげるかが課題となっている。

 調査は二つ実施した。一つは、全国の地方銀行や信用金庫など地域金融機関を対象に2023年10月~24年1月に郵送で実施し、72の金融機関から回答を得た(回収率20・4%)。もう一つは、地域金融機関で働く従業員を対象にインターネットで23年10月に実施し、有効回答数は2472件だった。

 住宅ローンなどの金融商品は夫婦でのペア返済などの仕組みがある。性的少数者の存在を前提にした商品設計は、「行っている」が20・8%だったが、「検討している」「今後検討する予定がある」も含めれば、33・3%の金融機関が前向きな姿勢を見せた。「行っている」とした15の金融機関すべてで、ペア返済などで「配偶者」の定義に同性パートナーを含めていた。

 地域の金融機関として、性的少数者を取り巻く社会環境への関わりには高い意欲が見られた。「課題解決に貢献したい」という項目に対して「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答する金融機関は合わせて90・3%を占めた。

 従業員への調査では、今の職場に性的少数者が「いないと思う」割合は70・4%だった。職場の人から性的少数者であることを伝えられた時の対応として、「本人から秘密にしてほしいと言われない限り第三者に伝えても問題ない」など第三者に勝手に性的指向などを伝える「アウティング」の危険性のある回答も16・2%と一定数あった。性的少数者が身近にいることが想定されず、知識も不十分な状況が浮き彫りとなった。

 ただ、地域金融機関は人事制度の設計や地域の客への取り組みなどで性的少数者の存在を前提とした対応を行うべきかという設問には、75・4%が「行うべき」だとした。

 調査を担当した堀菜保子・主任コンサルタントは、性的少数者への実際の対応の遅れの一方で貢献意欲は高い点について、「業界団体による働きかけなど後押しがあれば、取り組みが進む可能性がある」と指摘した。【藤沢美由紀】

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