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2024.03.26

最高裁が初判断 犯罪被害者給付金「同性カップルも受給できる」

 犯罪被害者給付金の支給対象に事実婚状態の同性カップルが含まれるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は26日、「含まれる」との初判断を示した。林道晴裁判長は「犯罪被害の軽減を図る必要性は異性か同性かで直ちに異ならない」と述べた。その上で、同性パートナーを殺害された原告男性に受給資格を認めなかった2審・名古屋高裁判決(2022年8月)を破棄し、男性が支給対象に該当するかの審理を尽くさせるため高裁に差し戻した。

 最高裁が事実婚状態にあった同性カップルを対象に含めたことで、同性パートナーの犯罪被害者給付金の申請が「門前払い」されることは無くなる。年金をはじめ、他制度でも同性カップルは法的保護の対象外となっており、判決が影響を与える可能性がある。

 裁判官5人のうち4人の多数意見。今崎幸彦裁判官は反対意見で「同性パートナーの法的保護の在り方は議論の蓄積が十分でない」とし、2審を支持した。

 犯罪被害者等給付金支給法(犯給法)は、遺族給付の対象となる配偶者を「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む」と定める。原告の内山靖英さん(49)=愛知県=は14年、同性パートナーを殺害され、愛知県公安委員会に遺族給付金を申請したが、不支給とされたため提訴した。

 小法廷は、犯給法の目的について「犯罪被害を軽減し、再び平穏な生活を営むことを支援することだ」と指摘。犯罪での精神的、経済的打撃は性別で変わらないことから、受給要件の「事実婚」に同性パートナーも含まれると結論付けた。

 実際に支給されるには、内山さんと同性パートナーが事実婚と言える状況にあったかを個別に判断する必要があり、差し戻し審ではこの点が争点となる見通し。【遠藤浩二】

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