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2024.06.02

気候変動の代償は誰が払う? アメリカ初、化石燃料企業に新ルール

 米東部バーモント州は、気候変動による気象災害などで生じた経済損失の負担を化石燃料企業に求めることを可能にする法律を制定する。「汚染者負担」の原則に基づいて温室効果ガスの排出量が多い企業の賠償責任を定める全米初の州法となる。

 新法では、過去30年に化石燃料の生産による二酸化炭素(CO2)排出量が10億トンを超す企業を対象に、排出量に応じて負担を求めることができる。負担金はインフラの整備など州内の気候変動の適応策にあてられる。

 米メディアによると、法案は民主党が優勢の州議会で5月上旬に通過し、共和党のスコット知事が同30日、知事の署名なしで成立させる措置を認めた。

 地元の環境団体は「気候変動のコストをすべて納税者が負担するのは公平ではない。原因を作った企業にも負担を求めることが可能になった」と歓迎する声明を発表した。同州では2023年夏に記録的な豪雨により洪水が発生。多くの家屋などが浸水し、10億ドル(約1570億円)以上の経済被害が生じた。

 業界団体の米石油協会は「あしき公共政策で憲法違反の可能性がある」として反対しており、訴訟となる可能性が高い。西部カリフォルニア州などでも同様の法案が検討されている。【ニューヨーク八田浩輔】

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